唾液中クロモグラニンA濃度の生体負担指標としての検証 —長時間の被験者実験での応用

唾液中クロモグラニンA(CgA)は交感神経系を反映する新たな指標として注目されており,比較的微弱なストレスを反映するマーカーとして,近年報告が散見される.しかしながら本指標は,運動負荷に対し必ずしも有意な上昇を示さないなど従来の交感神経系ストレス指標とは異なる特性を有する可能性も示されている.本報では唾液中CgA濃度の時系列データより本指標の基本特性を明らかにすること,また既存のストレス指標である唾液中コルチゾール濃度,尿中カテコールアミン排泄量との関係を明らかにすることを目的として被験者実験を行った.その結果,唾液中CgA濃度(補正)は強固な概日リズムを有する体温と負の相関を示し,指標自身が...

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Published in労働安全衛生研究 Vol. 1; no. 1; pp. 59 - 62
Main Author 三木, 圭一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所 2008
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ISSN1882-6822
1883-678X
DOI10.2486/josh.1.59

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Summary:唾液中クロモグラニンA(CgA)は交感神経系を反映する新たな指標として注目されており,比較的微弱なストレスを反映するマーカーとして,近年報告が散見される.しかしながら本指標は,運動負荷に対し必ずしも有意な上昇を示さないなど従来の交感神経系ストレス指標とは異なる特性を有する可能性も示されている.本報では唾液中CgA濃度の時系列データより本指標の基本特性を明らかにすること,また既存のストレス指標である唾液中コルチゾール濃度,尿中カテコールアミン排泄量との関係を明らかにすることを目的として被験者実験を行った.その結果,唾液中CgA濃度(補正)は強固な概日リズムを有する体温と負の相関を示し,指標自身が何らかの経時的変動を有する可能性が示された.運動負荷に応じ,尿中ノルアドレナリン排泄量は有意な増加を認めたが,唾液中CgA濃度における変動は必ずしも明らかではなかった.唾液中CgA濃度は従来の指標とは挙動が異なる可能性が示唆された.
ISSN:1882-6822
1883-678X
DOI:10.2486/josh.1.59