バス便数はなぜ高頻度となるのか―バス利用者機会費用に着目した解析的研究

我が国では、少子高齢化の進行、働き方改革の浸透、感染症対策さらには運転者不足も相まって、減便など公共交通の見直しが進んでいる。バスサービスの変更では住民ら地域との合意形成が不可欠ではあるが、民意による判断は必ずしも合理的とはならない。本研究は、既存の一対比較施設配置モデルを拡張し、バス利用者からの運賃でバス運行費が調達される収支完結構造に機会費用を組み込んだモデルを構築する。そして、バス利用者の希望時刻に多様性がある場合に、住民要望などの民意がバス本数の過剰供給を導くこと、繰上コストの改善が民意と効率性との乖離を拡大させること、これらのメカニズムを理論化する。民意がバスサービスの合理化の障害と...

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Published in応用地域学研究 Vol. 2022; no. 26; pp. 22 - 32
Main Authors 大澤, 義明, 西村, 詩央里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 応用地域学会 31.03.2023
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ISSN1880-960X
2435-4414
DOI10.34438/arsc.2022.26_22

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Summary:我が国では、少子高齢化の進行、働き方改革の浸透、感染症対策さらには運転者不足も相まって、減便など公共交通の見直しが進んでいる。バスサービスの変更では住民ら地域との合意形成が不可欠ではあるが、民意による判断は必ずしも合理的とはならない。本研究は、既存の一対比較施設配置モデルを拡張し、バス利用者からの運賃でバス運行費が調達される収支完結構造に機会費用を組み込んだモデルを構築する。そして、バス利用者の希望時刻に多様性がある場合に、住民要望などの民意がバス本数の過剰供給を導くこと、繰上コストの改善が民意と効率性との乖離を拡大させること、これらのメカニズムを理論化する。民意がバスサービスの合理化の障害となることを示す。
ISSN:1880-960X
2435-4414
DOI:10.34438/arsc.2022.26_22