保育士の子ども理解とは何か

本研究は,保育士が子どもの興味や関心を判断する際の着目点が保育経験年数によって,どのように異なるのかを検証したものである.3 歳児クラスを担当する 1 年目の新人保育士と 5 年から 10 年の保育経験年数を持つ中堅保育士の各 10 名が,砂遊びをする 9 人の子どもの様子が記録された動画を 2 回視聴し,それぞれの子どもの興味や関心について判断理由とともに自由記述した.自由記述を分析した結果,保育士は子どもの心の動きである情意性,目的を持って活動に取り組む意欲である志向性のほかにも,子どもが誰かと一緒に活動に取り組む共同性,繰り返し活動に取り組む再現性の 4つに着目していた.また,新人保育士...

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Published in日本社会福祉マネジメント学会誌 Vol. 2; no. 1; pp. 03 - 13
Main Author 貞松, 成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本社会福祉マネジメント学会 28.04.2022
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ISSN2436-4061
DOI10.50965/jasmjournal.2.1_03

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Summary:本研究は,保育士が子どもの興味や関心を判断する際の着目点が保育経験年数によって,どのように異なるのかを検証したものである.3 歳児クラスを担当する 1 年目の新人保育士と 5 年から 10 年の保育経験年数を持つ中堅保育士の各 10 名が,砂遊びをする 9 人の子どもの様子が記録された動画を 2 回視聴し,それぞれの子どもの興味や関心について判断理由とともに自由記述した.自由記述を分析した結果,保育士は子どもの心の動きである情意性,目的を持って活動に取り組む意欲である志向性のほかにも,子どもが誰かと一緒に活動に取り組む共同性,繰り返し活動に取り組む再現性の 4つに着目していた.また,新人保育士の 1 回目と 2 回目の共同性の記述数と中堅保育士の 1 回目と 2回目の志向性の記述数の増加に有意差が確認されたことから,保育士は経験年数を重ねることで,子どもの共同性から志向性に着目するようになることが明らかとなった.
ISSN:2436-4061
DOI:10.50965/jasmjournal.2.1_03