1988年から2002年までの小児細菌性髄膜炎28症例の検討

昭和大学病院小児科において過去14年間に細菌性髄膜炎28症例を経験した. 原因菌は, 新生児ではgroup B Streptococcus (以下GBS) が最も多く30%を, 一般小児ではHaemophilus influenzaeが72.2%を占めていた. 初期治療には, cefotaxime (以下CTX) とampicillin (以下ABPC) の併用療法が67.9%を占めていた. 今回CTX, ABPCの両抗菌薬に感受性を持たない原因菌による髄膜炎を経験したことにより, 小児細菌性髄膜炎の初期治療には, 単剤でなく2剤の抗菌薬を併用することが必要であり, その2剤の組み合わせには従...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in感染症学雑誌 Vol. 78; no. 3; pp. 253 - 261
Main Authors 市橋, いずみ, 辻, 祐一郎, 小田嶋, 安平, 小笠原, 奈緒子, 古荘, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 2004
Online AccessGet full text
ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.78.253

Cover

More Information
Summary:昭和大学病院小児科において過去14年間に細菌性髄膜炎28症例を経験した. 原因菌は, 新生児ではgroup B Streptococcus (以下GBS) が最も多く30%を, 一般小児ではHaemophilus influenzaeが72.2%を占めていた. 初期治療には, cefotaxime (以下CTX) とampicillin (以下ABPC) の併用療法が67.9%を占めていた. 今回CTX, ABPCの両抗菌薬に感受性を持たない原因菌による髄膜炎を経験したことにより, 小児細菌性髄膜炎の初期治療には, 単剤でなく2剤の抗菌薬を併用することが必要であり, その2剤の組み合わせには従来のCTXとABPCだけではなく新しい抗菌薬との組み合わせも考慮する必要があると考えられた. また, この28症例を後遺症あり群7症例, 後遺症群21症例の2群に分け受診時の諸因子について後方視的に検討した. その結果, 来院までの日数, 痙攣の有無などは予後に関連しなかった. 死亡や後遺症をきたした症例は全例乳児で, 原因菌はすべてHaemophilus属であった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.78.253