環境コミュニケーション効果の定量化

1992年リオデジャネイロで行われた地球サミットで示されたように,持続的発展を促進するための人々の環境意識を向上させる施策として,環境コミュニケーションの重要性は世界的に認識されている。しかしながら,現在までに環境コミュニケーションの意識へ及ぼす効果が充分に理解されていないことで,その役割が果たされていない可能性が指摘されている。本研究の目的は,環境コミュニケーションの効果を測定して人々の意識の変化量を定量化し,かつ向上させた理由を示し,意識向上への役割を実証することにある。環境コミュニケーションの手段は,ISO14063の中で26のコミュニケーションツールの1つに位置づけられるwebサイトに...

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Published in環境科学会誌 Vol. 23; no. 3; pp. 159 - 170
Main Authors 氷鉋, 揚四郎, 黛, 陽子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 環境科学会 2010
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ISSN0915-0048
1884-5029
DOI10.11353/sesj.23.159

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Summary:1992年リオデジャネイロで行われた地球サミットで示されたように,持続的発展を促進するための人々の環境意識を向上させる施策として,環境コミュニケーションの重要性は世界的に認識されている。しかしながら,現在までに環境コミュニケーションの意識へ及ぼす効果が充分に理解されていないことで,その役割が果たされていない可能性が指摘されている。本研究の目的は,環境コミュニケーションの効果を測定して人々の意識の変化量を定量化し,かつ向上させた理由を示し,意識向上への役割を実証することにある。環境コミュニケーションの手段は,ISO14063の中で26のコミュニケーションツールの1つに位置づけられるwebサイトに着目した。予備調査と段階的な6回のアンケート調査(n=560)によって意識の変化量を測定した。調査結果は,3つの点が検証された。1つは,「webサイトの閲覧によって影響された意識の変化量」についてである。共分散構造分析の結果,初期態度を起点として,クラス学習後のモデルを比較してwebサイトの閲覧後のモデルは,被験者の環境意識の変化量が高く上昇した。2つめは,「環境コミュニケーションの1つのツールとして機能するwebサイトの能力」についてである。因子分析の結果,同様の質問内容のすべてのモデルと比較して,webサイトの閲覧後のみ人々の学習意欲と同時に活動意欲の因子負荷の傾向が高かった。3つめは,「人々の意識に影響を与えたwebサイトの特徴の分析」についてである。共分散構造分析の結果,意識に影響を与えたもっとも重要な点は視覚デザインへの配慮であった。例えば,配色,写真の配置,デザインと内容の一致などである。これらの結果から,本研究では環境コミュニケーションにおいて,これによる人々の意識の変化量を定量化し,さらに人々の環境意識を向上させる1つのツールとしてwebサイトの有用性を認め,かつ,それを高める活用法を示すことができた。
ISSN:0915-0048
1884-5029
DOI:10.11353/sesj.23.159