3.末梢神経障害の機序

薬物による末梢神経障害の発症を予防するためには,その発症機序を解明することが重要である.しかしながら,現在,末梢神経障害の機序が明確となっている薬剤は少ない.本稿では,薬物による末梢神経障害の機序をaxonopathy,neuronopathy,myelinopathyに分類して解説し,具体例を挙げて解説した.Axonopathyは末梢神経軸索の障害により発症する末梢神経障害で,微小管阻害作用を有する抗悪性腫瘍薬やcolchicine,HMG-CoA還元酵素阻害薬による末梢神経障害でみられる.Neuronopathyは末梢神経の神経細胞体が障害されて発症し,二次的に障害される軸索の変性を伴う末...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 96; no. 8; pp. 1585 - 1590
Main Authors 河野, 豊, 永田, 博司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 2007
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.96.1585

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Summary:薬物による末梢神経障害の発症を予防するためには,その発症機序を解明することが重要である.しかしながら,現在,末梢神経障害の機序が明確となっている薬剤は少ない.本稿では,薬物による末梢神経障害の機序をaxonopathy,neuronopathy,myelinopathyに分類して解説し,具体例を挙げて解説した.Axonopathyは末梢神経軸索の障害により発症する末梢神経障害で,微小管阻害作用を有する抗悪性腫瘍薬やcolchicine,HMG-CoA還元酵素阻害薬による末梢神経障害でみられる.Neuronopathyは末梢神経の神経細胞体が障害されて発症し,二次的に障害される軸索の変性を伴う末梢神経障害で,cisplatin,carboplatin,oxaliplatinなどの抗悪性腫瘍薬による末梢神経障害でみられる.MyelinopathyはSchwann細胞が障害され発症する末梢神経障害で,amiodarone,interferon-α,perhexiline,chloroquie,tacrolimusなどの特定の薬剤で出現する.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.96.1585