2.抗悪性腫瘍薬の薬理遺伝学
薬物動態や薬物反応に関与する分子の遺伝的多型は薬物の効果,毒性の個体差の原因となる.治療域が狭い抗悪性腫瘍薬の場合,多型の情報に基づいた治療の個別化が有用である場合もある.イリノテカン塩酸塩による治療において重篤な毒性をさけるためには,活性代謝物であるSN-38を解毒するUGT1A1の遺伝的多型に応じた用量設定が必要である.また最近臨床に導入された抗体医薬ではADCCに関与するFcγ受容体の多型が効果を規定することが示された.今後,がん薬物療法では遺伝子多型に基づいた個別化治療が重要になる....
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Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 98; no. 8; pp. 1846 - 1853 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内科学会
2009
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
DOI | 10.2169/naika.98.1846 |
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Summary: | 薬物動態や薬物反応に関与する分子の遺伝的多型は薬物の効果,毒性の個体差の原因となる.治療域が狭い抗悪性腫瘍薬の場合,多型の情報に基づいた治療の個別化が有用である場合もある.イリノテカン塩酸塩による治療において重篤な毒性をさけるためには,活性代謝物であるSN-38を解毒するUGT1A1の遺伝的多型に応じた用量設定が必要である.また最近臨床に導入された抗体医薬ではADCCに関与するFcγ受容体の多型が効果を規定することが示された.今後,がん薬物療法では遺伝子多型に基づいた個別化治療が重要になる. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.98.1846 |