肝疾患におけるα1-アンチトリプシン表現型の研究

肝疾患患者761名の血清α1-アンチトリプシン表現型の分布を正常者648名を対照として新しい方法であるpolyacrylamide gel slab isoelectric focusingを用いて検討した.正常者群で,MMが99.2%, rare variants 0.8%,肝疾患患者群で,MMが98.8%, rare variants 1.2%であった.欧米と比較しMMが圧倒的に多く,また欠乏症を呈するZ遣伝子が検出されなかった.このようにα1-アンチトリプシン表現型の分布には民族差が認められた.慢性肝疾患患者中に欧米では稀であり,α1-アンチトリプシン濃度が低値を示すPのheterozy...

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Published in肝臓 Vol. 21; no. 12; pp. 1599 - 1605
Main Authors 岡, 博, 織田, 敏次, 三宅, 和彦, 鈴木, 宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.12.1980
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.21.1599

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Summary:肝疾患患者761名の血清α1-アンチトリプシン表現型の分布を正常者648名を対照として新しい方法であるpolyacrylamide gel slab isoelectric focusingを用いて検討した.正常者群で,MMが99.2%, rare variants 0.8%,肝疾患患者群で,MMが98.8%, rare variants 1.2%であった.欧米と比較しMMが圧倒的に多く,また欠乏症を呈するZ遣伝子が検出されなかった.このようにα1-アンチトリプシン表現型の分布には民族差が認められた.慢性肝疾患患者中に欧米では稀であり,α1-アンチトリプシン濃度が低値を示すPのheterozygotesが4名認められた.この患者の肝生検組織にはα1-アンチトリプシンの蓄積は認められなかった.Isoelectric focusingによりMMがさらに3つの亜型,M1M1, M1M2, M2M2に分類され,3群間に血中濃度差(M1M1>M1M2>M2M2)が認められた.低値群のM2M2の出現頻度が正常者群で4.9%であるのに対し,慢性肝疾患患者群に10.8%と有意に高頻度に観察された(p<0.001).
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.21.1599