術前化学放射線療法後に腹膜播種をきたしたcStage III胸部上部食道癌の1例
症例は72歳,男性.喉のつかえを主訴に当院を受診し,胸部上部食道後壁を主体に2型腫瘍(生検:中分化型扁平上皮癌)と上縦隔リンパ節転移を認め,食道癌(cT3N1M0,cStage III)の診断となった.術前治療後に根治手術の方針となり,化学放射線療法(5-FU+シスプラチン,総線量41.5Gy)療法を施行し,原発巣とリンパ節転移巣の著明な縮小を確認した(ycT3N0M0,ycStage II).治療終了2週間後に発熱が出現し,CT検査にて十二指腸と後腹膜,腸管膜に広範な脂肪濃度の上昇や小結節影を認めた.審査腹腔鏡にて食道癌の腹膜播種を組織学的に確認し,胃空腸バイパス術を施行した.化学療法を希望...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 11; pp. 2706 - 2711 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.76.2706 |
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Summary: | 症例は72歳,男性.喉のつかえを主訴に当院を受診し,胸部上部食道後壁を主体に2型腫瘍(生検:中分化型扁平上皮癌)と上縦隔リンパ節転移を認め,食道癌(cT3N1M0,cStage III)の診断となった.術前治療後に根治手術の方針となり,化学放射線療法(5-FU+シスプラチン,総線量41.5Gy)療法を施行し,原発巣とリンパ節転移巣の著明な縮小を確認した(ycT3N0M0,ycStage II).治療終了2週間後に発熱が出現し,CT検査にて十二指腸と後腹膜,腸管膜に広範な脂肪濃度の上昇や小結節影を認めた.審査腹腔鏡にて食道癌の腹膜播種を組織学的に確認し,胃空腸バイパス術を施行した.化学療法を希望されず,術後6週目に癌死した.胸部上部を主座とする食道扁平上皮癌が腹膜播種を単独できたすことは極めて稀であるが,腹膜播種の可能性を念頭に入れた全身検索の必要性が考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.76.2706 |