抗PD-1抗体治療中に発見された切除後19カ月生存中の肺癌大腸転移の1例

症例は83歳,男性.右上葉原発性肺腺癌,多発骨転移,両側頸部リンパ節転移,cT1b N3 M1b Stage IVの診断で,2015年5月にぺムブロリズマブ単剤療法を開始した.原発巣・転移巣全てに著効しPRを維持していたが,2016年10月に造影CT検査で新たに盲腸壁の肥厚が指摘された.下部消化管内視鏡検査を行い,生検で低分化型腺癌,肺癌盲腸転移の診断となった.治療を継続したが,盲腸転移巣のみ増大を認めたため,2017年3月に腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.その後,右腋窩リンパ節が徐々に増大(60mm),疼痛も出現したため,2018年1月に右腋窩リンパ節摘出術を施行した.2018年10月現在,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 10; pp. 1837 - 1842
Main Authors 安食, 隆, 土原, 一生, 山内, 淳一郎, 國米, 崇, 白崎, 圭一, 藤田, 正太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.1837

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Summary:症例は83歳,男性.右上葉原発性肺腺癌,多発骨転移,両側頸部リンパ節転移,cT1b N3 M1b Stage IVの診断で,2015年5月にぺムブロリズマブ単剤療法を開始した.原発巣・転移巣全てに著効しPRを維持していたが,2016年10月に造影CT検査で新たに盲腸壁の肥厚が指摘された.下部消化管内視鏡検査を行い,生検で低分化型腺癌,肺癌盲腸転移の診断となった.治療を継続したが,盲腸転移巣のみ増大を認めたため,2017年3月に腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.その後,右腋窩リンパ節が徐々に増大(60mm),疼痛も出現したため,2018年1月に右腋窩リンパ節摘出術を施行した.2018年10月現在,新規病変の出現は見られずPRを維持している.従来,肺癌大腸転移の予後は極めて不良であり,肺癌の終末期像と考えられてきた.本症例は免疫チェックポイント阻害剤が著効し,大腸転移切除後19カ月生存中の症例であり,文献的考察を踏まえて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1837