電子書籍の読取りおよび聴き取りをした場合の脳活性化と内容理解度

電子書籍の読書方法には読取りと聴き取りの二つの方法がある.しかし,これらの読書方法の違いが脳の活性化や内容理解度に及ぼす影響については明らかにされていない.本論文では,同一内容の電子書籍を読取りした場合と朗読音声やコンピュータ合成音声で聴き取りをした場合の大脳前頭前野における脳血流を測定した.その結果,電子書籍の読取りをした場合の方が聴き取りをした場合よりも大脳前頭前野の活性度が高いことがわかった.特に,朗読音声の聴き取りをした場合には,読取りをした場合に比べて大脳前頭前野の活性度が顕著に低下した.また,読書終了後に実験参加者を対象に内容理解度テストを実施した結果,読取りの方が聴き取りよりも理...

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Bibliographic Details
Published in映像情報メディア学会誌 Vol. 70; no. 10; pp. J221 - J226
Main Authors 磯野, 春雄, 小野口, 和樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 映像情報メディア学会 2016
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ISSN1342-6907
1881-6908
DOI10.3169/itej.70.J221

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Summary:電子書籍の読書方法には読取りと聴き取りの二つの方法がある.しかし,これらの読書方法の違いが脳の活性化や内容理解度に及ぼす影響については明らかにされていない.本論文では,同一内容の電子書籍を読取りした場合と朗読音声やコンピュータ合成音声で聴き取りをした場合の大脳前頭前野における脳血流を測定した.その結果,電子書籍の読取りをした場合の方が聴き取りをした場合よりも大脳前頭前野の活性度が高いことがわかった.特に,朗読音声の聴き取りをした場合には,読取りをした場合に比べて大脳前頭前野の活性度が顕著に低下した.また,読書終了後に実験参加者を対象に内容理解度テストを実施した結果,読取りの方が聴き取りよりも理解度の平均値が高かった.しかしながら,両者の間に統計的有意差は認められなかった.
ISSN:1342-6907
1881-6908
DOI:10.3169/itej.70.J221