1.日本の現状と病態
鉄の需要が供給を上回る状態が続くと,貧血のない鉄欠乏に陥り,さらに進行すると,鉄欠乏性貧血となる.鉄欠乏の進行により組織鉄欠乏を来し,舌乳頭萎縮や食道の襞形成,匙状爪などを呈するに至る.また異食症など特異な症状も見られる.鉄欠乏や鉄過剰にいたる経過をもっとも鋭敏にとらえる指標は,血清フェリチンである.日本人女性では約半数が何らかの鉄欠乏状態にあり,鉄欠乏性貧血は女性の10%程度の頻度でみられる.鉄欠乏克服の戦略として,鉄摂取への食事指導,鉄補助食品の使用,鉄添加食品の導入があげられる....
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Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 99; no. 6; pp. 1194 - 1200 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内科学会
2010
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
DOI | 10.2169/naika.99.1194 |
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Summary: | 鉄の需要が供給を上回る状態が続くと,貧血のない鉄欠乏に陥り,さらに進行すると,鉄欠乏性貧血となる.鉄欠乏の進行により組織鉄欠乏を来し,舌乳頭萎縮や食道の襞形成,匙状爪などを呈するに至る.また異食症など特異な症状も見られる.鉄欠乏や鉄過剰にいたる経過をもっとも鋭敏にとらえる指標は,血清フェリチンである.日本人女性では約半数が何らかの鉄欠乏状態にあり,鉄欠乏性貧血は女性の10%程度の頻度でみられる.鉄欠乏克服の戦略として,鉄摂取への食事指導,鉄補助食品の使用,鉄添加食品の導入があげられる. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.99.1194 |