Euglena gracilisを適用したコメットアッセイによる埋立処分場浸出水のDNAダメージポテンシャルの評価

埋立処分場浸出水には未知の有害物質の存在が指摘されており、その有害性リスクポテンシャルを把握するため化学分析とともに様々なバイオアッセイの適用が検討されている。本研究では、ミドリムシ藻Euglena gracilisを供試生物として適用したコメットアッセイを用いて4種の埋立処分場浸出水のDNA損傷性を評価するとともに代表的な変異原性試験であるumuテストとの検出感度比較を検討した。4種のうち2種においてDNA損傷性が検出され、試料A、Bにおいてそれぞれ40倍、10倍濃縮時で標準化Tail momentの有意な増加が確認された。試料Aは代謝活性酵素S9 mix添加条件でDNA損傷性が検出されたこ...

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Published in日本水処理生物学会誌 Vol. 41; no. 2; pp. 73 - 81
Main Authors 宮田, 直幸, 青山, 光太郎, 岩堀, 恵祐
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本水処理生物学会 2005
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ISSN0910-6758
1881-0438
DOI10.2521/jswtb.41.73

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Summary:埋立処分場浸出水には未知の有害物質の存在が指摘されており、その有害性リスクポテンシャルを把握するため化学分析とともに様々なバイオアッセイの適用が検討されている。本研究では、ミドリムシ藻Euglena gracilisを供試生物として適用したコメットアッセイを用いて4種の埋立処分場浸出水のDNA損傷性を評価するとともに代表的な変異原性試験であるumuテストとの検出感度比較を検討した。4種のうち2種においてDNA損傷性が検出され、試料A、Bにおいてそれぞれ40倍、10倍濃縮時で標準化Tail momentの有意な増加が確認された。試料Aは代謝活性酵素S9 mix添加条件でDNA損傷性が検出されたことから、試料に含まれるDNA損傷性物質は間接的DNA損傷性物質であり、試料BではS9 mix無添加条件でのみDNA損傷性が検出されたことから、原因物質は直接的DNA損傷性物質であると考えられる。また、DNA損傷性が検出された2試料は他の試料と比較してCODMnが高い数値を示しており、難分解性有機物がDNA損傷性に関与している可能性が高いと推定される。同試料を用いてumuテストを行ったところ、すべての試料においてS9 mix添加有無の両条件ともに変異原性は検出されなかった。このことから、E. gracilisを適用したコメットアッセイはumuテストと比較して検出感度が高く、環境水のDNA損傷評価試験として有効であることが明らかとなった。
ISSN:0910-6758
1881-0438
DOI:10.2521/jswtb.41.73