3.神経筋接合部の障害

Lambert-Eaton筋無力症候群(LEMS)は,肺小細胞癌(SCLC)を高率に合併する傍腫瘍性神経症候群の代表例である.また,LEMSは神経終末部でのアセチルコリンの放出障害をその病態の基盤とする神経筋接合部・自律神経疾患でもある.その発症機序としては,SCLCに発現しているP/Q型電位依存性カルシウムチャネル(P/Q型VGCC)に対する免疫反応で生じた自己抗体が,神経終末のP/Q型VGCC量を減少させ,LEMS症状を発現させると推察されている.さらには,LEMS患者の一部では,P/Q型VGCC抗体が血液脳関門を通過して,小脳のP/Q型VGCCを標的抗原として運動失調症を引き起こすと考え...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 97; no. 8; pp. 1778 - 1783
Main Author 本村, 政勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 2008
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.97.1778

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Summary:Lambert-Eaton筋無力症候群(LEMS)は,肺小細胞癌(SCLC)を高率に合併する傍腫瘍性神経症候群の代表例である.また,LEMSは神経終末部でのアセチルコリンの放出障害をその病態の基盤とする神経筋接合部・自律神経疾患でもある.その発症機序としては,SCLCに発現しているP/Q型電位依存性カルシウムチャネル(P/Q型VGCC)に対する免疫反応で生じた自己抗体が,神経終末のP/Q型VGCC量を減少させ,LEMS症状を発現させると推察されている.さらには,LEMS患者の一部では,P/Q型VGCC抗体が血液脳関門を通過して,小脳のP/Q型VGCCを標的抗原として運動失調症を引き起こすと考えられている.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.97.1778