筋萎縮性側索硬化症における書字障害と孤立性失書

従来,筋萎縮性側索硬化症 (ALS) に認知症を伴うことはまれであるとされていたが,1960年代以降からALS と認知症の合併例が相次いで報告されるようになり,本邦では湯浅-三山型として知られてきた。近年,前頭側頭型認知症 (FTD) の概念が提唱されて以降,運動ニューロン疾患 (MND) を伴うものは FTD-MND として位置づけられ,亜型とされる意味性認知症,進行性非流暢性失語を前景とする ALS/MND 例も散見される。しかし,構音障害を有するALS 例では非運動症状が見逃されやすく,書字の評価が重要と考える。今回,ALS における書字障害の記載をレヴューするとともに,孤立性失書を呈し...

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Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 29; no. 2; pp. 231 - 238
Main Author 市川, 博雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能学会 30.06.2009
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ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.29.231

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Summary:従来,筋萎縮性側索硬化症 (ALS) に認知症を伴うことはまれであるとされていたが,1960年代以降からALS と認知症の合併例が相次いで報告されるようになり,本邦では湯浅-三山型として知られてきた。近年,前頭側頭型認知症 (FTD) の概念が提唱されて以降,運動ニューロン疾患 (MND) を伴うものは FTD-MND として位置づけられ,亜型とされる意味性認知症,進行性非流暢性失語を前景とする ALS/MND 例も散見される。しかし,構音障害を有するALS 例では非運動症状が見逃されやすく,書字の評価が重要と考える。今回,ALS における書字障害の記載をレヴューするとともに,孤立性失書を呈した自験例などについて言及した。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.29.231