一重症心身障害児施設におけるClostridium perfringens (ウエルシュ菌) 感染症 (下痢症) の小流行について
1985年の夏にClostridium perfringens (以下Cl. perfringensと略す) (ウエルシュ菌) によると思われる下痢症の小流行を経験した. 14例の重症心身障害児 (者) が発症し, そのうち11例は同じ病棟内のもので, その中の7例は同室者であった. 1日1回から5回の下痢が主症状で, 発熱はなく, 嘔吐もほとんどみられず, 食欲も比較的良好であった. 発症時検索を得た10例全例に糞便1g当り103個から106個以上のCl. perfringensが算定され, そのうち9例から, enterotoxin産生株が検出された. 菌の抗生剤にたいする感受性はカナマイ...
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| Published in | 感染症学雑誌 Vol. 63; no. 4; pp. 410 - 416 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本感染症学会
1989
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0387-5911 1884-569X |
| DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.63.410 |
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| Summary: | 1985年の夏にClostridium perfringens (以下Cl. perfringensと略す) (ウエルシュ菌) によると思われる下痢症の小流行を経験した. 14例の重症心身障害児 (者) が発症し, そのうち11例は同じ病棟内のもので, その中の7例は同室者であった. 1日1回から5回の下痢が主症状で, 発熱はなく, 嘔吐もほとんどみられず, 食欲も比較的良好であった. 発症時検索を得た10例全例に糞便1g当り103個から106個以上のCl. perfringensが算定され, そのうち9例から, enterotoxin産生株が検出された. 菌の抗生剤にたいする感受性はカナマイシン, ゲンタマイシンを除く多くの抗生剤に良い感受性を示した. Hobbsの血清型はいずれの株もuntypableであった. 本小流行については, 発生状況から給食その他の汚染された食物を介してひろがった可能性は考えにくく, 患児や介護者の手や器物, 衣服などを介した可能性が疑われる稀な流行パチーンであるが, 感染源はなお不明である. |
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| ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
| DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.63.410 |