相川日出雄による郷土史中心の小学校社会科授業づくり : 「新しい地歴教育」実践の創造過程における農村青年教師としての経験と意味

本研究の目的は,相川日出雄による「新しい地歴教育」実践の創造過程に着目し,彼の「農村青年教師」としての経験とその意味について考察することである。研究の方法は,本人による著作や雑誌論文の中から社会科授業観の変容の契機となった経験を明らかにし,当時の記録や文献などの資料を用いて,その意味について検討することである。相川の「農村青年教師」としての経験の特質として,以下の三点を指摘することができた。一点目は,相川が1950年代前半の富里村における農村の貧困問題に着目し,郷土史研究を通してその解決をめざしたことである。二点目は,相川が自身の郷土史研究に基づいて,郷土史中心の小学校社会科授業づくりを行って...

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Published in社会科研究 Vol. 79; pp. 13 - 24
Main Author 白井, 克尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 全国社会科教育学会 2013
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ISSN0289-856X
2432-9142
DOI10.20799/jerasskenkyu.79.0_13

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Summary:本研究の目的は,相川日出雄による「新しい地歴教育」実践の創造過程に着目し,彼の「農村青年教師」としての経験とその意味について考察することである。研究の方法は,本人による著作や雑誌論文の中から社会科授業観の変容の契機となった経験を明らかにし,当時の記録や文献などの資料を用いて,その意味について検討することである。相川の「農村青年教師」としての経験の特質として,以下の三点を指摘することができた。一点目は,相川が1950年代前半の富里村における農村の貧困問題に着目し,郷土史研究を通してその解決をめざしたことである。二点目は,相川が自身の郷土史研究に基づいて,郷土史中心の小学校社会科授業づくりを行っていたことである。三点目は,相川が郷土における子どもの生活に着目する中で,子どもを地域における生活の主体者としてとらえていったことである。以上のことより,1950年代前半における相川による郷土史中心の小学校社会科授業づくりの実相を明らかにすることができたと考える。また,相川に対するこれまでの評価に加え,「農村青年教師」としての彼の経験に即して郷土史中心の授業づくりへの転換が図られた意味を解明したことが,本稿の成果としてあげられる。
ISSN:0289-856X
2432-9142
DOI:10.20799/jerasskenkyu.79.0_13