飲食空間のCFD解析による会話介入時のCOVID-19感染リスク低減効果の評価

COVID-19の流行による営業活動の制限で,外食産業は大きな打撃を受けた。感染症拡大下での事業の継続には,安全な飲食空間の形成が必要であり,その手立てを講じるためにも感染リスクの適切な評価が重要となってくる。そこで,飲食店における様々な会話状況に応じたSARS-CoV-2空気感染リスク低減効果を定量的に評価することを目的として,本研究を行った。手法としては,実際の会食時の会話状況を分析し,その結果を加味したCFD解析によって,飲食空間における発声抑制や会話時のマスク着用といった行動が,どの程度空気感染リスクの低減につながるかの評価を行った。シミュレーションの結果,換気の調整のみでは局所的な飛...

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Published in環境科学会誌 Vol. 37; no. 3; pp. 64 - 79
Main Authors 市村, 達哉, 福士, 謙介, 栗栖, 聖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 環境科学会 31.05.2024
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ISSN0915-0048
1884-5029
DOI10.11353/sesj.37.64

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Summary:COVID-19の流行による営業活動の制限で,外食産業は大きな打撃を受けた。感染症拡大下での事業の継続には,安全な飲食空間の形成が必要であり,その手立てを講じるためにも感染リスクの適切な評価が重要となってくる。そこで,飲食店における様々な会話状況に応じたSARS-CoV-2空気感染リスク低減効果を定量的に評価することを目的として,本研究を行った。手法としては,実際の会食時の会話状況を分析し,その結果を加味したCFD解析によって,飲食空間における発声抑制や会話時のマスク着用といった行動が,どの程度空気感染リスクの低減につながるかの評価を行った。シミュレーションの結果,換気の調整のみでは局所的な飛沫核濃度変化を生じるにとどまり,大幅な濃度減少が期待できないケースもあった。一方で,感染者が声量の抑制や会話時のマスク着用を行った場合は空間全体の飛沫核濃度の低下を観測でき,一部の対策でも無対策時と比較して空気感染リスクを40%以上低減できるケースがあることがわかった。
ISSN:0915-0048
1884-5029
DOI:10.11353/sesj.37.64