リアルタイムに対象識別を可能とする近赤外マルチスペクトラルイメージング腹腔鏡システムの開発

低侵襲な手法として腹腔鏡手術の需要が高まる中,一般的な腹腔鏡システムでは可視光(約 380~850 nm)しか受光できないため,色合いの似た組織や深部組織などの正確な観察が困難である.そこで近年,近赤外分光イメージングが高い生体透過性を持ち, 空間分解能高く分子振動情報を取得できることから,色味の分かりにくい対象の識別や組織深部の対象検出への可能性があり,手術支援技術への応用が期待されている。しかし,既存の装置では空間および波長分解能が高く撮像時間が長くかかるため,腹腔鏡及び術中機器への適用が難しい.そこで本研究では術中の使用を想定し,波長を限定することでリアルタイムな撮像および識別が行えると...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Proc; pp. 474 - 475
Main Authors 梅澤, 雅和, 曽我, 公平, 高松, 利寛, 林, 聖也, 竹村, 裕, 福島, 諒大, 横田, 秀夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual62.474

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Summary:低侵襲な手法として腹腔鏡手術の需要が高まる中,一般的な腹腔鏡システムでは可視光(約 380~850 nm)しか受光できないため,色合いの似た組織や深部組織などの正確な観察が困難である.そこで近年,近赤外分光イメージングが高い生体透過性を持ち, 空間分解能高く分子振動情報を取得できることから,色味の分かりにくい対象の識別や組織深部の対象検出への可能性があり,手術支援技術への応用が期待されている。しかし,既存の装置では空間および波長分解能が高く撮像時間が長くかかるため,腹腔鏡及び術中機器への適用が難しい.そこで本研究では術中の使用を想定し,波長を限定することでリアルタイムな撮像および識別が行えると考え,近赤外マルチスペクトラルイメージング(NIR-MSI)腹腔鏡システムを開発した.複数の近赤外LEDとArduino,トランジスタ回路からなるスイッチング機構で構成される光源部に多分岐したライトガイドを挿入し,近赤外腹腔鏡システムの先端からの出力光と撮像の同期制御により,高速なMSIデータ取得を実現している. 初期検討として,可視光領域で色味が酷似した4種の透明樹脂を対象にMSIデータを取得して機械学習を行い,ニューラルネットワークによる識別をした.検証の結果,MSIデータの収集および解析までの一連の工程を1.5秒以内で行え,約90%の精度で識別が可能であることを確認した.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual62.474