都市部における在宅勤務の増加がCO2排出量に与える影響の分析

新型コロナウイルスの蔓延により,急速に在宅勤務が浸透した。本研究では,特に在宅勤務が導入された都市部を対象に在宅勤務の実態に関するオンライン調査を実施した。そしてその結果を元に,現在の在宅勤務がエネルギー消費量やCO2排出量に及ぼす影響を定量的に評価した。その結果,現在の都市部における在宅勤務者は,(a)もともと公共交通を利用して通勤していたことにより,在宅勤務になっても,通勤に伴うエネルギー消費削減効果がほとんどないこと,(b)在宅勤務が浸透し,出勤人数は減っているにもかかわらず,オフィスの面積を削減する等の対策が実施されていないケースが多く,オフィスにおけるエネルギー削減効果があまり見込め...

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Published in環境科学会誌 Vol. 36; no. 5; pp. 173 - 184
Main Authors 松橋, 啓介, 森田, 舞, 増井, 利彦, 有賀, 敏典, 金森, 有子, 池田, 晃一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 環境科学会 30.09.2023
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ISSN0915-0048
1884-5029
DOI10.11353/sesj.36.173

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Summary:新型コロナウイルスの蔓延により,急速に在宅勤務が浸透した。本研究では,特に在宅勤務が導入された都市部を対象に在宅勤務の実態に関するオンライン調査を実施した。そしてその結果を元に,現在の在宅勤務がエネルギー消費量やCO2排出量に及ぼす影響を定量的に評価した。その結果,現在の都市部における在宅勤務者は,(a)もともと公共交通を利用して通勤していたことにより,在宅勤務になっても,通勤に伴うエネルギー消費削減効果がほとんどないこと,(b)在宅勤務が浸透し,出勤人数は減っているにもかかわらず,オフィスの面積を削減する等の対策が実施されていないケースが多く,オフィスにおけるエネルギー削減効果があまり見込めない,(c)全体としては,むしろエネルギー消費量が増加している可能性すらあることが示唆された。都市部での在宅勤務によりエネルギー消費量の削減につなげるためには,在宅勤務のレベルに応じてオフィスの利用面積を適切に削減することや,在宅勤務中のエネルギー消費削減のために工夫することが必要である。さらに,余暇時間に行う活動の種類によってはエネルギー消費量の増加につながる点に,注意が必要であることがわかった。
ISSN:0915-0048
1884-5029
DOI:10.11353/sesj.36.173