完全置換型人工心臓装着後の循環血液量の変化と液性因子の検討

全人工心臓(TAH)埋め込み後早期の循環血液量(CBV)とCBV調節に関係する液性因子の変動を、仔牛4頭を用いた慢性動物実験により検討した。正常対照1頭と電気油圧型または空気駆動型TAHの埋め込みを行った3頭を対象に、CBVとANP、ADH、血漿レニン活性、アンギオテンシン-I、IIを測定した。TAH埋め込み動物では術後4、8日目のCBVは、術前の111~155%へと増加していた。ANPはTAH装着による低下を示さず、ADHも1頭で術後2日目に一過性の上昇を認めた以外はほぼ正常範囲で経過し、ANPとADHの変化が直接CBVを増加させた可能性は低い。一方、TAHを埋め込んだ2頭においてレニン-ア...

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Published in人工臓器 Vol. 27; no. 1; pp. 25 - 30
Main Authors 武輪, 能明, 中谷, 武嗣, 妙中, 義之, 大野, 孝, 瀧浦, 晃基, 孫, 領相, 脇坂, 佳成, 高野, 久輝, 中村, 真人, 遠藤, 誠子, 増澤, 徹, 巽, 英介, 西村, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.02.1998
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.27.25

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Summary:全人工心臓(TAH)埋め込み後早期の循環血液量(CBV)とCBV調節に関係する液性因子の変動を、仔牛4頭を用いた慢性動物実験により検討した。正常対照1頭と電気油圧型または空気駆動型TAHの埋め込みを行った3頭を対象に、CBVとANP、ADH、血漿レニン活性、アンギオテンシン-I、IIを測定した。TAH埋め込み動物では術後4、8日目のCBVは、術前の111~155%へと増加していた。ANPはTAH装着による低下を示さず、ADHも1頭で術後2日目に一過性の上昇を認めた以外はほぼ正常範囲で経過し、ANPとADHの変化が直接CBVを増加させた可能性は低い。一方、TAHを埋め込んだ2頭においてレニン-アンギオテンシン系の亢進がみられ、CBV増加と関連していた可能性が示唆されたが、TAH埋め込みに共通した変化とはいえなかった。以上より、TAH装着後早期からCBVは増加するが、これらの因子が直接原因となっている可能性は低いと考えられた
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.27.25