十全大補湯により抗腫瘍効果を認めた肝細胞癌・多発肺転移の1例

症例は84歳の男性.C型肝硬変で当科へ通院中.肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;HCC)に対して,局所治療や血管内治療を繰り返していた.肝内に多発再発を認めたが,腎機能障害のため血管内治療は継続困難となった.テガフール・ウラシル配合剤投与を行うも腫瘍マーカーは上昇傾向であり,投与を中止した.その後HCCは経時的に増加・増大し,多発肺転移も認めた.免疫賦活作用を期待して十全大補湯を開始したところ,開始1カ月後に腫瘍マーカーは著明に低下し,開始6カ月後には一部の肝内病変は縮小し多発肺転移は消失した.十全大補湯による抗腫瘍効果と考えられ,推奨された治療に対して抵抗性,または...

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Published in肝臓 Vol. 59; no. 7; pp. 355 - 362
Main Authors 今井, 那美, 岩久, 章, 横田, 健晴, 廣瀬, 雄紀, 木下, 晃吉, 山口, るり, 小池, 和彦, 猿田, 雅之, 石本, 詩子, 三浦, 由紀子, 木島, 洋征, 木下, 勇次, 赤須, 貴文, 柴田, 恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 20.07.2018
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.59.355

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Summary:症例は84歳の男性.C型肝硬変で当科へ通院中.肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;HCC)に対して,局所治療や血管内治療を繰り返していた.肝内に多発再発を認めたが,腎機能障害のため血管内治療は継続困難となった.テガフール・ウラシル配合剤投与を行うも腫瘍マーカーは上昇傾向であり,投与を中止した.その後HCCは経時的に増加・増大し,多発肺転移も認めた.免疫賦活作用を期待して十全大補湯を開始したところ,開始1カ月後に腫瘍マーカーは著明に低下し,開始6カ月後には一部の肝内病変は縮小し多発肺転移は消失した.十全大補湯による抗腫瘍効果と考えられ,推奨された治療に対して抵抗性,または肝機能不良の進行HCC症例に対して,1つの選択肢となり得る可能性が示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.59.355