十二指腸空腸吻合Roux-en-Y法を施行した鈍的十二指腸破裂の1例

症例は29歳の男性.腹部に暴行を受けて受傷し,受傷18時間後に搬送された.ショック状態であり,腹部全体に筋性防御を認めた.腹部・骨盤CT検査所見より十二指腸損傷を疑い,緊急開腹手術となった.十二指腸下行脚から水平脚にかけて,十二指腸膵臓側に半周程度の破裂部を認めた.周囲は3~4cmの範囲で挫滅が高度であり,腸管の血流障害が疑われたため,単純閉鎖や漿膜パッチでは修復困難と判断した.Vater乳頭部から損傷部が離れていることを内腔より確認後,損傷部十二指腸の部分切除術および挙上空腸による Roux-en-Y法再建を施行した.この再建法は,物理的張力が軽微であることや十二指腸を遊離する必要がないこと...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 7; pp. 1690 - 1694
Main Authors 入野, 志保, 関根, 和彦, 松本, 松圭, 清水, 正幸, 渋沢, 崇行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1690

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Summary:症例は29歳の男性.腹部に暴行を受けて受傷し,受傷18時間後に搬送された.ショック状態であり,腹部全体に筋性防御を認めた.腹部・骨盤CT検査所見より十二指腸損傷を疑い,緊急開腹手術となった.十二指腸下行脚から水平脚にかけて,十二指腸膵臓側に半周程度の破裂部を認めた.周囲は3~4cmの範囲で挫滅が高度であり,腸管の血流障害が疑われたため,単純閉鎖や漿膜パッチでは修復困難と判断した.Vater乳頭部から損傷部が離れていることを内腔より確認後,損傷部十二指腸の部分切除術および挙上空腸による Roux-en-Y法再建を施行した.この再建法は,物理的張力が軽微であることや十二指腸を遊離する必要がないことが利点と言え,挫滅範囲が広く,十二指腸の端々吻合が距離の問題で不可能な場合に,安全で最適な方法と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1690