短期間に増大を認めた膵臓コレステリン肉芽腫の1例

症例は52歳の男性で,糖尿病にて近医に通院中であった.腹痛の精査で膵尾部に腫瘤を認め経過観察となっていたが,腫瘤の増大を認めたため当院へ紹介となった.CTやMRIでは辺縁に石灰化を伴う47mm大の腫瘤がみられ,明らかな内部の造影効果は認めなかった.画像および増大傾向を認めたことから膵癌の可能性を否定出来ず,膵体尾部切除・脾摘術を施行した.術中所見では腫瘍周囲は強固に癒着していたが,病変部以外は正常膵であった.術後の病理組織学的検査にてコレステリン空隙を伴う異物貪食マクロファージを含む炎症細胞の貯留がみられ,コレステリン肉芽腫と診断された.膵臓に発生するコレステリン肉芽腫は極めて稀である....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 9; pp. 2130 - 2134
Main Authors 森, 良雄, 薮崎, 紀充, 武藤, 俊博, 吉田, 滋, 武田, 洋平, 井上, 総一郎, 小林, 一博, 仲田, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.2130

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Summary:症例は52歳の男性で,糖尿病にて近医に通院中であった.腹痛の精査で膵尾部に腫瘤を認め経過観察となっていたが,腫瘤の増大を認めたため当院へ紹介となった.CTやMRIでは辺縁に石灰化を伴う47mm大の腫瘤がみられ,明らかな内部の造影効果は認めなかった.画像および増大傾向を認めたことから膵癌の可能性を否定出来ず,膵体尾部切除・脾摘術を施行した.術中所見では腫瘍周囲は強固に癒着していたが,病変部以外は正常膵であった.術後の病理組織学的検査にてコレステリン空隙を伴う異物貪食マクロファージを含む炎症細胞の貯留がみられ,コレステリン肉芽腫と診断された.膵臓に発生するコレステリン肉芽腫は極めて稀である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.2130