1.潜在性甲状腺機能異常

潜在性甲状腺機能異常とは血中の遊離型ホルモンは基準値を示すがTSHは基準値をより上昇している潜在性甲状腺機能低下症およびTSHのみが基準値を下回る潜在性甲状腺機能亢進症に分類される.機能異常は軽度であるため治療の必要性はないと考えられていたが,近年の疫学的調査で心疾患等の発症や死亡率に影響を及ぼすことが判明し治療についても検討が行われた.潜在性機能低下症は妊娠時と妊娠希望者では速やかに補充療法を開始すべきとされている.他の患者では永続性,原因疾患,症状・徴候の有無,TSH値,甲状腺腫,年齢,合併疾患を考慮して決定する.TSHが0.1μU/ml未満の潜在性機能亢進症患者では閉経後,60歳以上,骨...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 99; no. 4; pp. 707 - 712
Main Author 磯崎, 収
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 2010
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.99.707

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Summary:潜在性甲状腺機能異常とは血中の遊離型ホルモンは基準値を示すがTSHは基準値をより上昇している潜在性甲状腺機能低下症およびTSHのみが基準値を下回る潜在性甲状腺機能亢進症に分類される.機能異常は軽度であるため治療の必要性はないと考えられていたが,近年の疫学的調査で心疾患等の発症や死亡率に影響を及ぼすことが判明し治療についても検討が行われた.潜在性機能低下症は妊娠時と妊娠希望者では速やかに補充療法を開始すべきとされている.他の患者では永続性,原因疾患,症状・徴候の有無,TSH値,甲状腺腫,年齢,合併疾患を考慮して決定する.TSHが0.1μU/ml未満の潜在性機能亢進症患者では閉経後,60歳以上,骨粗鬆症や心疾患を有する場合は甲状腺中毒症を是正すべきとされている.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.99.707