腸管集合性大腸菌耐熱性エンテロトキシン-1 (EAST-1) 遺伝子を保有する, 食中毒様事例由来病原血清型大腸菌

1995年1月16日, 秋田県南秋田郡G町においてEnteropathogenic Escherichia coli (EPEC) O126: NMによると考えられる食中毒様事例が発生した.分離されたEPECのプラスミドプロファイル, 薬剤感受性パターンは一致しており, これらのEPECが共通の感染源に由来したことが示唆された. 分離されたEPECはいずれもEPECの下痢原性機構に深く関与していると考えられているeae遺伝子とEAF遺伝子を共に保有しなかった.一方, 分離株はEnteroaggregative E. coli (EAggEC) heat-stable enterotoxin-1...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 70; no. 1; pp. 73 - 79
Main Authors 八柳, 潤, 佐藤, 宏康, 木内, 雄, 森田, 盛大, 齊藤, 志保子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.01.1996
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.73

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Summary:1995年1月16日, 秋田県南秋田郡G町においてEnteropathogenic Escherichia coli (EPEC) O126: NMによると考えられる食中毒様事例が発生した.分離されたEPECのプラスミドプロファイル, 薬剤感受性パターンは一致しており, これらのEPECが共通の感染源に由来したことが示唆された. 分離されたEPECはいずれもEPECの下痢原性機構に深く関与していると考えられているeae遺伝子とEAF遺伝子を共に保有しなかった.一方, 分離株はEnteroaggregative E. coli (EAggEC) heat-stable enterotoxin-1 (EAST-1) 遺伝子を保有していたが, EAggECの集合性付着に関与するAggregative adherence fimbriae 1 (AAF/1) のStructural subunitをコードするagg A遺伝子を保有しなかったことから, EAggECとは明らかに異なるものと考えられた. 以上の結果から, EAST-1がヒトに対して実際にエンテロトキシン活性を示す可能性が強く示唆された.また, EPECが異なる下痢原性機構を保有する, 複数の菌種から構成されており, EAST-1がeae遺伝子と共にその下痢原性機構に関与する可能性が示唆された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.73