高齢者における病態生理と対応 高齢者の生理的特徴

「はじめに」若年者は単一臓器の疾患を治療すればすむが, 高齢者は例え耳鼻咽喉科疾患でも全身との関わりを常に意識して治療しなければならないと言われる. 耳鼻咽喉科領域は呼吸器の入口でもあり, 本稿では老年者呼吸器の生理的特徴について述べる. 「1. 脳血管障害と肺炎」若年性肺炎は外因性肺炎であり, 市中肺炎とも言われるが, 老人性肺炎は内因性肺炎であり院内肺炎である. 通常老人性肺炎対策はMRSAの発生者数などであるが, 健常者がいくらMRSAに囲まれても何ともないので, 老人の感染対策は患者自身の感染防御機構の解明とその対策がむしろ重要である. 老人性肺炎は口腔内雑菌を不顕性嚥炎して肺炎に至る...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 104; no. 1; pp. 34 - 37
Main Author 佐々木, 英忠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.01.2001
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.104.34

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Summary:「はじめに」若年者は単一臓器の疾患を治療すればすむが, 高齢者は例え耳鼻咽喉科疾患でも全身との関わりを常に意識して治療しなければならないと言われる. 耳鼻咽喉科領域は呼吸器の入口でもあり, 本稿では老年者呼吸器の生理的特徴について述べる. 「1. 脳血管障害と肺炎」若年性肺炎は外因性肺炎であり, 市中肺炎とも言われるが, 老人性肺炎は内因性肺炎であり院内肺炎である. 通常老人性肺炎対策はMRSAの発生者数などであるが, 健常者がいくらMRSAに囲まれても何ともないので, 老人の感染対策は患者自身の感染防御機構の解明とその対策がむしろ重要である. 老人性肺炎は口腔内雑菌を不顕性嚥炎して肺炎に至る. 老人性肺炎対策は不顕性誤嚥をおこさせないことにつきる. 不顕性誤嚥は嚥下反射1)と咳反射2)の低下によって生じる(図1). 両反射の低下は迷走神経知覚枝の頸部神経節で合成されるサブスタンスPが迷行性に咽頭や気管に分布される量の低下によって生じる3). サブスタンスPの産生量の低下は黒線状体で作られるドーパミンの産生量の低下によって生じる4). ドーパミン低下は大脳基底様の脳梗塞によって生じる.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.104.34