耳鼻咽喉科•頭頸部外科の救急治療 急性めまい

「はじめに」日常診療で急性めまい疾患が敬遠され, 取り扱いにおいて困難を感じさせる点は, 主に次の3点になるかと思われる. 慢性疾患の予約診療中に, 突然優先性が高く, 迅速な判断が求められる疾患として対応を求められるために診療のペースが乱されるし, まためまい診療自体が, 視診を主とした感染症・アレルギー疾患診療と異なり, 内科的な消去法的思考に基づいた診療なので複雑で時間がかかるのに, 加えてそれが急性であるために十分とは言えない情報で短時間に判断を下さなけれならない. 急性めまい症の中には脳幹・小脳の出血・梗塞などの放置すると致死的になる疾患が含まれるため, 慎重にならざるを得ない. 緊...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 109; no. 1; pp. 64 - 67
Main Author 矢部, 多加夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.01.2006
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.109.64

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Summary:「はじめに」日常診療で急性めまい疾患が敬遠され, 取り扱いにおいて困難を感じさせる点は, 主に次の3点になるかと思われる. 慢性疾患の予約診療中に, 突然優先性が高く, 迅速な判断が求められる疾患として対応を求められるために診療のペースが乱されるし, まためまい診療自体が, 視診を主とした感染症・アレルギー疾患診療と異なり, 内科的な消去法的思考に基づいた診療なので複雑で時間がかかるのに, 加えてそれが急性であるために十分とは言えない情報で短時間に判断を下さなけれならない. 急性めまい症の中には脳幹・小脳の出血・梗塞などの放置すると致死的になる疾患が含まれるため, 慎重にならざるを得ない. 緊急CT, MRIなどの画像診断申し込み, 関連他科への併診依頼, 採血・点滴, 場合によっては入院あるいは紹介転院の手続きなど, すべきことが多く煩瑣である. 患者の状況を素速く判断し, 一人診療体制などで対応が困難と考えられる場合には, 入院施設が整っている医療機関への紹介転院が必要になるであろうし, 日頃より患者の症状の程度に応じた対処のフローチャート, 病院-診療所, 病院-病院連携ネットワークを構築しておくと対応が円滑に進むと思われる.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.109.64