第18回心臓性急死研究会 洞性頻脈に対する植込み型除細動器(ICD)の6回目のショック作動が心室頻拍(VT)を誘発して低酸素脳症を生じた1症例

症例は76歳,女性.1995年,陳旧性心筋梗塞後(左室駆出率:23%)の心室頻拍(VT)に対して植込み型除細動器(ICD)治療を行った.その後,数年に1回の適切作動を認めたが,不適切作動は認めていなかった.2004年,自転車運転中にICDが作動し,降りたところで意識消失した.救急隊到着時,呼吸停止,モニター上心室細動(VF)を認め体外除細動後に搬送された.ICD記録では,洞性頻脈(心拍数:141/分)に対して抗頻拍ペーシング(治療(1))ショック通電(治療(2),(3))が行われ,その後の治療(4)のショックがVT(心拍数195/分)を誘発した.治療(5)のショック通電でVTはいったん停止した...

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Published inShinzo Vol. 38; no. Supplement3; p. 91
Main Authors 佐藤, 光希, 岡田, 槙輔, 古嶋, 博司, 田辺, 靖貴, 小村, 悟, 山下, 文男, 和泉, 大輔, 相澤, 義房, 岡村, 和気, 池主, 雅臣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2006
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.38.Supplement3_91

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Summary:症例は76歳,女性.1995年,陳旧性心筋梗塞後(左室駆出率:23%)の心室頻拍(VT)に対して植込み型除細動器(ICD)治療を行った.その後,数年に1回の適切作動を認めたが,不適切作動は認めていなかった.2004年,自転車運転中にICDが作動し,降りたところで意識消失した.救急隊到着時,呼吸停止,モニター上心室細動(VF)を認め体外除細動後に搬送された.ICD記録では,洞性頻脈(心拍数:141/分)に対して抗頻拍ペーシング(治療(1))ショック通電(治療(2),(3))が行われ,その後の治療(4)のショックがVT(心拍数195/分)を誘発した.治療(5)のショック通電でVTはいったん停止したが,継続する洞性頻脈に治療(6)のショック通電が行われ,再度VTが誘発されて以後VFに移行した.ICD治療例では経過中の同頻拍レートの上昇が致死的なICD不適切作動を生じる危険があり注意を要する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.38.Supplement3_91