呼吸障害とホルネル症候群の徴候を呈した若齢猫の鼻咽頭ポリープに対して外科的切除を行った1例
上部気道炎とホルネル症候群の徴候を示す18ヶ月齢の猫が来院した。内科的治療に効果を示さなかったので、CT検査を実施した結果、右鼓室胞と鼻咽頭部に軟部組織塊を確認した。全身麻酔下で軟口蓋切開によりアプローチして、耳管咽頭口から鼻咽頭部に出ているポリープを除去したところ、呼吸障害は改善したが神経徴候は持続した。その1ヶ月後、MRI検査所見に基づいて、腹側鼓室胞切除術により右鼓室胞内に充満する炎症組織を除去したところ、術後に臨床症状の悪化も認められず、神経徴候はほぼ改善した。2回の手術で摘出した組織は、組織学的に炎症性ポリープと診断された。本症例の経過から、猫では鼓室胞と鼻咽頭の炎症性ポリープによっ...
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Published in | 日本獣医麻酔外科学雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 14 - 20 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
2021
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Subjects | |
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ISSN | 2189-6623 2189-6631 |
DOI | 10.2327/jjvas.52.14 |
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Summary: | 上部気道炎とホルネル症候群の徴候を示す18ヶ月齢の猫が来院した。内科的治療に効果を示さなかったので、CT検査を実施した結果、右鼓室胞と鼻咽頭部に軟部組織塊を確認した。全身麻酔下で軟口蓋切開によりアプローチして、耳管咽頭口から鼻咽頭部に出ているポリープを除去したところ、呼吸障害は改善したが神経徴候は持続した。その1ヶ月後、MRI検査所見に基づいて、腹側鼓室胞切除術により右鼓室胞内に充満する炎症組織を除去したところ、術後に臨床症状の悪化も認められず、神経徴候はほぼ改善した。2回の手術で摘出した組織は、組織学的に炎症性ポリープと診断された。本症例の経過から、猫では鼓室胞と鼻咽頭の炎症性ポリープによって上部気道障害とホルネル症候群が生じることあり、その治療として両部位の病巣切除が必要になりうることが示唆された。手術から16ヶ月後に鼻咽頭部から採取した検体のPCR検査ではMycoplasma felisが陽性であったが、この感染が鼻咽頭ポリープの原因であるとの結論には至らなかった。 |
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ISSN: | 2189-6623 2189-6631 |
DOI: | 10.2327/jjvas.52.14 |