“和”の医療―造血細胞移植

造血細胞移植は血液内科・小児科医だけでは成り立ち得ず,看護部はもとより,前治療における放射線科,採取における手術室,輸血部,移植後合併症時における皮膚科,呼吸器科,消化器科,病理部,薬剤部そして事務部と,施設のほとんど全部所の理解と協力の上に成り立つ治療法である。従ってこれらの部所間の“和”の重要性は当初からそれぞれの施設において認識され,やがてはそれに携わる人たちの体質になってきたように思われる。その良き体質は,地域,全国の研究会,学会,研究班を形成し,医学・医療界外の人たちとともに骨髄バンク,臍帯血バンクを誕生させ,又同じような体質を持つ海外の仲間たちと交流し,国際学会を創設してきた。そこ...

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Published in日本造血細胞移植学会雑誌 Vol. 7; no. 3; pp. 118 - 124
Main Author 小寺, 良尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本造血細胞移植学会 2018
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ISSN2186-5612
DOI10.7889/hct-17-011

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Summary:造血細胞移植は血液内科・小児科医だけでは成り立ち得ず,看護部はもとより,前治療における放射線科,採取における手術室,輸血部,移植後合併症時における皮膚科,呼吸器科,消化器科,病理部,薬剤部そして事務部と,施設のほとんど全部所の理解と協力の上に成り立つ治療法である。従ってこれらの部所間の“和”の重要性は当初からそれぞれの施設において認識され,やがてはそれに携わる人たちの体質になってきたように思われる。その良き体質は,地域,全国の研究会,学会,研究班を形成し,医学・医療界外の人たちとともに骨髄バンク,臍帯血バンクを誕生させ,又同じような体質を持つ海外の仲間たちと交流し,国際学会を創設してきた。そこに身を置き,ささやかながら携わってきた事柄を紹介する。そして造血細胞移植という技術に特化した日本造血細胞移植学会が,現在の対象疾患における一層の成績向上を志向すると共に,新しい対象疾患の開拓に向けて力強く前進されることを期待する。
ISSN:2186-5612
DOI:10.7889/hct-17-011