70歳台の遺伝性乳癌卵巣癌症候群患者に対側リスク低減乳房切除術を施行した一例
乳癌既発症の遺伝性乳癌卵巣癌症候群患者に対して施行される対側リスク低減乳房切除術は,BRCA関連乳癌の生物学的な特徴,二次癌発症への不安軽減という観点から,本人の希望に基づく予防的介入である.新規乳癌の発症を90%以上低減させ,近年では総死亡率の低下を示唆する結果が報告されている.治療の有効性や安全性が確認されたことから, 2020年には乳癌および卵巣癌既発症者の未発症部位に対する切除術が条件付きで公的医療保険の適応となった.また,BRCA1/2遺伝学的検査の保険収載に伴い,遺伝性乳癌卵巣癌症候群と診断される症例も増えることが想定される.一方,人口の超高齢化,薬物療法の進歩により本邦の高齢乳癌...
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          | Published in | 遺伝性腫瘍 Vol. 20; no. 3; pp. 168 - 171 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
    
        30.12.2020
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| Subjects | |
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| ISSN | 2435-6808 | 
| DOI | 10.18976/jsht.20.3_168 | 
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| Summary: | 乳癌既発症の遺伝性乳癌卵巣癌症候群患者に対して施行される対側リスク低減乳房切除術は,BRCA関連乳癌の生物学的な特徴,二次癌発症への不安軽減という観点から,本人の希望に基づく予防的介入である.新規乳癌の発症を90%以上低減させ,近年では総死亡率の低下を示唆する結果が報告されている.治療の有効性や安全性が確認されたことから, 2020年には乳癌および卵巣癌既発症者の未発症部位に対する切除術が条件付きで公的医療保険の適応となった.また,BRCA1/2遺伝学的検査の保険収載に伴い,遺伝性乳癌卵巣癌症候群と診断される症例も増えることが想定される.一方,人口の超高齢化,薬物療法の進歩により本邦の高齢乳癌患者は増加の一途であることから,幅広い年齢層への対応が望まれている.このような背景を踏まえ,本稿では遺伝性乳癌卵巣癌症候群の片側乳癌既発症高齢者に対して対側リスク低減乳房切除術を施行した経験を報告する. | 
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| ISSN: | 2435-6808 | 
| DOI: | 10.18976/jsht.20.3_168 |