DNPH誘導体化-HPLC法を用いた室内空気中ノナナール及びデカナール分析法の確立と実態調査

厚生労働省はシックハウス問題の対策として, 2002年2月までに13物質の室内濃度指針値とノナナールの暫定指針値を設定した。ノナナールは, 脂肪族飽和アルデヒド類だが沸点の観点からVOCに分類されるため, 一般的にVOC類と同じ方法で測定する。しかし我々は, ノナナールをアクティブ採取しVOC用の分析法で測定した場合に,採取空気量の増加に伴う回収率の低下が見られる事を確認した。そこで我々は, ノナナールがアルデヒド類であることに着目し, 採取と同時に安定な誘導体化を得ることができるDNPH誘導体化-HPLC分析法よるアクティブ採取法を検討した。ノナナール及びデカナールについて検討した結果, 5...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in室内環境学会誌 Vol. 8; no. 1; pp. 1 - 8
Main Authors 斎藤, 育江, 大貫, 文, 瀬戸, 博, 上原, 眞一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 室内環境学会 2005
Online AccessGet full text
ISSN2186-4314
DOI10.11510/siej1998.8.1_1

Cover

More Information
Summary:厚生労働省はシックハウス問題の対策として, 2002年2月までに13物質の室内濃度指針値とノナナールの暫定指針値を設定した。ノナナールは, 脂肪族飽和アルデヒド類だが沸点の観点からVOCに分類されるため, 一般的にVOC類と同じ方法で測定する。しかし我々は, ノナナールをアクティブ採取しVOC用の分析法で測定した場合に,採取空気量の増加に伴う回収率の低下が見られる事を確認した。そこで我々は, ノナナールがアルデヒド類であることに着目し, 採取と同時に安定な誘導体化を得ることができるDNPH誘導体化-HPLC分析法よるアクティブ採取法を検討した。ノナナール及びデカナールについて検討した結果, 570L通気した場合のノナナールの回収率は96.5%, デカナールは105.2%と良好で, 直線性のある検量線が得られた。短い分析時間などを満たす分析条件を確立し, この方法を用いた一般住宅室内の実態調査を行った。その結果, ノナナール濃度については, 洋室の濃度中央値が和室よりも高く, 合板等の木質建材に由来することが推察された。 デカナール濃度については, 居住住宅の方が新築住宅よりも中央値が高くなった。これは, デカナールが花香料, アロマオイル, 食品用香料を含む生活用品から発生するためと推察された。
ISSN:2186-4314
DOI:10.11510/siej1998.8.1_1