発達性読み書き障害の脳機能異常部位

発達性読み書き障害の脳画像研究はアルファベット語圏においては盛んに行われており, 左頭頂側頭領域および左後頭側頭領域の機能低下に加えて左下前頭回の活動亢進が生じることが報告されている。 左頭頂側頭領域の低活動は音韻処理の非効率性, 左後頭側頭領域は視覚的単語認知の拙劣さ, 左下前頭回は音韻出力への代償的な高負荷を反映しているのではないかと考えられている。一方, 中国語においては中前頭回の機能低下を報告している研究もあり, 脳機能低下部位が言語間で共通であるかに関しては今後も検討が必要である。日本語話者を対象とした研究では, 読みが拙劣な人では読みだけでなく線画に関わる脳活動にも非定型性が認めら...

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Bibliographic Details
Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 38; no. 3; pp. 277 - 280
Main Author 樋口, 大樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会 30.09.2018
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ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.38.277

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Summary:発達性読み書き障害の脳画像研究はアルファベット語圏においては盛んに行われており, 左頭頂側頭領域および左後頭側頭領域の機能低下に加えて左下前頭回の活動亢進が生じることが報告されている。 左頭頂側頭領域の低活動は音韻処理の非効率性, 左後頭側頭領域は視覚的単語認知の拙劣さ, 左下前頭回は音韻出力への代償的な高負荷を反映しているのではないかと考えられている。一方, 中国語においては中前頭回の機能低下を報告している研究もあり, 脳機能低下部位が言語間で共通であるかに関しては今後も検討が必要である。日本語話者を対象とした研究では, 読みが拙劣な人では読みだけでなく線画に関わる脳活動にも非定型性が認められたが, 日本語話者の発達性読み書き障害を対象とした研究は少ないため, 今後より一層の検討が必要である。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.38.277