各種エックス線撮影法を用いた舌側孔の評価:下顎前歯部の手術に有用な研究

目的:各種撮影法を用いて,下顎前歯部の手術において注意を要する舌側孔のあり方を調べる. 方法:さまざまな疾患の病態を精査するために,下顎前歯部の口内法撮影,口内線源型パノラマエックス線撮影(パナグラフィー),医科用CT,歯科用コーンビームCT を行った21 名の症例群を対象として,舌側孔の存在,数,位置,侵入方向,歯槽頂から舌側孔上端までの最近接距離,舌側管の深さを求めた. 結果:舌側孔は医科用CT および歯科用CT でのみ検出された.その数は21 例中8 例(38%)において1 個,21例中8 例(38%)で2 個,21 例中3 例(14%)で3 個,21 例中2 例(10%)で4 個であっ...

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Published in日本口腔インプラント学会誌 Vol. 27; no. 2; pp. 156 - 163
Main Authors 辻, 要, 秋山, 広徳, 蒲生, 祥子, 川植, 康史, 中島, 有佳子, 森, 悠衣, 肥田, 孝文, 清水谷, 公成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 2014
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ISSN0914-6695
2187-9117
DOI10.11237/jsoi.27.156

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Summary:目的:各種撮影法を用いて,下顎前歯部の手術において注意を要する舌側孔のあり方を調べる. 方法:さまざまな疾患の病態を精査するために,下顎前歯部の口内法撮影,口内線源型パノラマエックス線撮影(パナグラフィー),医科用CT,歯科用コーンビームCT を行った21 名の症例群を対象として,舌側孔の存在,数,位置,侵入方向,歯槽頂から舌側孔上端までの最近接距離,舌側管の深さを求めた. 結果:舌側孔は医科用CT および歯科用CT でのみ検出された.その数は21 例中8 例(38%)において1 個,21例中8 例(38%)で2 個,21 例中3 例(14%)で3 個,21 例中2 例(10%)で4 個であった.水平的な位置に関しては正中部が最多で66%,右側・左側ともに17%の割合で分布していた.垂直的な侵入方向に関しては上方が最多で41%,下方が32%,水平が27%であった.歯槽頂から舌側孔上端までの最近接距離および舌側管の深さに関しては,より一層多様性がみられたが,前者の最頻値は20 mm 以上25 mm 未満であり,後者は2 mm 以上3 mm 未満の割合で観察された. 結論:舌側孔を観察するには医科用CT ないし歯科用コーンビームCT による精査が必要であり,被曝を加味すると後者が推奨された.また,本研究により,舌側孔の数は過去報告より多いことが示唆された.
ISSN:0914-6695
2187-9117
DOI:10.11237/jsoi.27.156