血管壁リモデリング作用を考慮した大動脈瘤成長シミュレーション

動脈瘤とは血管壁の一部が局所的に拡張する成長性の病変である.動脈瘤の成長には血行力学的因子の関与が指摘されてきたが,過去の血管形状変化に関する計算力学解析では,瘤が発生する前の血流から血管が成長する領域を予め定めており,形状変化に伴う血流変化は考慮してこなかった.もし動脈瘤が血流と血管壁との経年的な相互作用の下で成長するのであれば,これを考慮した解析が必要となる.そこで,本研究では形状変化に伴う血流の変化およびそれに起因する血管壁成長・物性の変化を相互に考慮した計算力学解析を行うことにより,血管形状がどのように変化するのかを大動脈を題材に検討した.血管壁リモデリング作用として,高壁面せん断領域...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in可視化情報学会誌 Vol. 34; no. 134; pp. 10 - 15
Main Authors 中村, 匡徳, 和田, 成生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 可視化情報学会 2014
Online AccessGet full text
ISSN0916-4731
1884-037X
DOI10.3154/jvs.34.134_10

Cover

More Information
Summary:動脈瘤とは血管壁の一部が局所的に拡張する成長性の病変である.動脈瘤の成長には血行力学的因子の関与が指摘されてきたが,過去の血管形状変化に関する計算力学解析では,瘤が発生する前の血流から血管が成長する領域を予め定めており,形状変化に伴う血流変化は考慮してこなかった.もし動脈瘤が血流と血管壁との経年的な相互作用の下で成長するのであれば,これを考慮した解析が必要となる.そこで,本研究では形状変化に伴う血流の変化およびそれに起因する血管壁成長・物性の変化を相互に考慮した計算力学解析を行うことにより,血管形状がどのように変化するのかを大動脈を題材に検討した.血管壁リモデリング作用として,高壁面せん断領域における細胞増殖と壁の脆弱化と低壁面せん断領域における壁の硬化を考慮し,血流変化と血管変形を相互に計算を行うと,大動脈弓上流側に紡錘状の瘤が形成された.
ISSN:0916-4731
1884-037X
DOI:10.3154/jvs.34.134_10