日本の寒冷地小河川におけるクサヨシ除去による沈水植物復元の検証
美々川では,高い窒素負荷により過剰繁茂したクサヨシ(Phalaris arundinacea)の浮島が流路を閉塞させ沈水植物が衰退した.本研究では沈水植物復元のため,沈水植物が残存していた流路の幅に倣い,流路幅を調整しながらクサヨシを部分的に除去した.除去後は流速が速くなり,泥深度は減少し,底質が粗くなり,水深は4 年目以降に浅くなった.クサヨシの除去後,バイカモ(Ranunculus nipponicus)は翌年から毎年増加し続けたが,エゾミクリ(Sparganium emersum)は翌年増加し,その後はほぼ一定であった.一方,クサヨシとドクゼリは減少し,5 年目には消失した.Canoni...
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| Published in | 湿地研究 Vol. 12; pp. 73 - 87 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本湿地学会
2022
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 2185-4238 2434-1762 |
| DOI | 10.24785/wetlandresearch.WR012004 |
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| Summary: | 美々川では,高い窒素負荷により過剰繁茂したクサヨシ(Phalaris arundinacea)の浮島が流路を閉塞させ沈水植物が衰退した.本研究では沈水植物復元のため,沈水植物が残存していた流路の幅に倣い,流路幅を調整しながらクサヨシを部分的に除去した.除去後は流速が速くなり,泥深度は減少し,底質が粗くなり,水深は4 年目以降に浅くなった.クサヨシの除去後,バイカモ(Ranunculus nipponicus)は翌年から毎年増加し続けたが,エゾミクリ(Sparganium emersum)は翌年増加し,その後はほぼ一定であった.一方,クサヨシとドクゼリは減少し,5 年目には消失した.Canonical Correspondence Analysis の結果,表層流速および底質の粗粒化はバイカモの被度と正の相関があったが,クサヨシとは負の相関があった.エゾミクリは水深と正の相関があった.したがって,これらの水生植物の変化は,部分的除去後の物理的環境の変化の結果であると考えられる.流路内におけるクサヨシの繁茂は7 年間抑制されたことからクサヨシの部分的除去は効果的な対策方法だと考えられる. |
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| ISSN: | 2185-4238 2434-1762 |
| DOI: | 10.24785/wetlandresearch.WR012004 |