原発性肝癌における血清補体に関する研究

原発性肝癌患者の血清補体価(CH50値)が高値をきたす傾向にあることを確認し,その臨床的意義について検討した.原発性肝細胞癌のうち肝硬変合併例のCH50値は正常範囲ないしやや高値を示すものが多く,その平均値は肝硬変症のそれの2倍強の比較的高値を示し,肝硬変非合併例では全例が健常人に比し有意の高値を示した.Cholangioma, Hepatoblastomaでも正常ないし高値をみた.肝細胞癌ではCH50値とAFP値との間に明らかな相関を認めなかったが,経時的観察例での補体系の変動はAFPの動態と対比して癌腫の増殖と密に関連し,比較的早期から次第に高値を呈してくる傾向にあり,腫瘍の増殖ないしそれ...

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Published in肝臓 Vol. 17; no. 5; pp. 348 - 360
Main Author 藤山, 重俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.05.1976
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.17.348

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Summary:原発性肝癌患者の血清補体価(CH50値)が高値をきたす傾向にあることを確認し,その臨床的意義について検討した.原発性肝細胞癌のうち肝硬変合併例のCH50値は正常範囲ないしやや高値を示すものが多く,その平均値は肝硬変症のそれの2倍強の比較的高値を示し,肝硬変非合併例では全例が健常人に比し有意の高値を示した.Cholangioma, Hepatoblastomaでも正常ないし高値をみた.肝細胞癌ではCH50値とAFP値との間に明らかな相関を認めなかったが,経時的観察例での補体系の変動はAFPの動態と対比して癌腫の増殖と密に関連し,比較的早期から次第に高値を呈してくる傾向にあり,腫瘍の増殖ないしそれによる組織破壊等による補体産生の亢進が示唆された.また,組織学的に分化度が高い原発性肝癌ではAFP産生は低いがCH50値は高値をみることが多く,このようなtypeの原発性肝癌の診断にはとくに有用で診断学的にも意義があり,早期診断への手がかりとなる可能性も示された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.17.348