両側気胸のバセドウ病患者に対する甲状腺全摘出術および気管切開術の麻酔管理

気胸患者の全身麻酔は術前に胸腔ドレーンを留置することが望ましい.本症例は人工呼吸器管理中の57歳の男性で,甲状腺全摘出術と気管切開術が予定された.両側気胸があったが,左胸腔ドレーンのみで自発呼吸で管理されていた.全身麻酔の強制換気に伴い右胸腔ドレーンの留置が検討されたが,甲状腺機能亢進症状から術前に侵襲を加えることを控えたため,右肺への圧を最小限に抑える必要が生じた.甲状腺全摘出術中はダブルルーメンチューブを用いて,左片肺換気と右肺CPAPで対応した.気管切開術では気管切開チューブの入れ替え後の両肺換気のため,レミマゾラムを拮抗し自発呼吸をすみやかに確立した.良好に管理できた本症例を報告する....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 42; no. 7; pp. 574 - 580
Main Authors 手島, 琢, 新谷, 亮祐, 田代, 佳子, 田中, 達士, 前川, 拓治, 宮﨑, 友理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.11.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.42.574

Cover

More Information
Summary:気胸患者の全身麻酔は術前に胸腔ドレーンを留置することが望ましい.本症例は人工呼吸器管理中の57歳の男性で,甲状腺全摘出術と気管切開術が予定された.両側気胸があったが,左胸腔ドレーンのみで自発呼吸で管理されていた.全身麻酔の強制換気に伴い右胸腔ドレーンの留置が検討されたが,甲状腺機能亢進症状から術前に侵襲を加えることを控えたため,右肺への圧を最小限に抑える必要が生じた.甲状腺全摘出術中はダブルルーメンチューブを用いて,左片肺換気と右肺CPAPで対応した.気管切開術では気管切開チューブの入れ替え後の両肺換気のため,レミマゾラムを拮抗し自発呼吸をすみやかに確立した.良好に管理できた本症例を報告する.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.42.574