急性肝炎における糖代謝異常に関する研究

急性肝炎51例に100g経ロブドウ糖負荷試験(GTT)および免疫インスリン(IRI)の測定を施行し,経過の面より検討した.すなわち,急性肝炎・急性期の30分ΔIRI/ΔBSは正常に較べ低値で,回復期には正常化の傾向をみた.急性期の30分ΔIRI/ΔBSを0.4以下,0.4~0.8, 0.8以上の3群に分け,回復期にかけての血糖,IRIの動きをみると,0.4以下の群は血糖の改善はみられるが,IRIの改善はほとんどみられず,30分ΔIRI/ΔBSの改善も軽度であった.IRI反応と肝組織所見との関係では,肝細胞壊死の高度な例に30分ΔIRI/ΔBS,30分ΔIRIの低下例が多く,膵内分泌機能の低下の...

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Published in肝臓 Vol. 20; no. 5; pp. 451 - 457
Main Authors 牧野, 邦雄, 瀧野, 辰郎, 大高, 剛, 平海, 良雄, 中島, 一益, 千丸, 博司, 高森, 成之, 金綱, 隆弘, 中林, 富雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.05.1979
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.20.451

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Summary:急性肝炎51例に100g経ロブドウ糖負荷試験(GTT)および免疫インスリン(IRI)の測定を施行し,経過の面より検討した.すなわち,急性肝炎・急性期の30分ΔIRI/ΔBSは正常に較べ低値で,回復期には正常化の傾向をみた.急性期の30分ΔIRI/ΔBSを0.4以下,0.4~0.8, 0.8以上の3群に分け,回復期にかけての血糖,IRIの動きをみると,0.4以下の群は血糖の改善はみられるが,IRIの改善はほとんどみられず,30分ΔIRI/ΔBSの改善も軽度であった.IRI反応と肝組織所見との関係では,肝細胞壊死の高度な例に30分ΔIRI/ΔBS,30分ΔIRIの低下例が多く,膵内分泌機能の低下の共存が示唆された.臨床経過では,治癒例は遷延ないし慢性化例に較べ,急性期の30分ΔIRI/ΔBSは高値で,また,回復期での上昇も強く,これらは急性肝炎の予後判定に有用と考える.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.20.451