熱・流体・応力連成解析による水蒸気が及ぼす再冠水時のバリア性能への影響

放射性廃棄物処分施設の再冠水時の熱・流体・応力連成挙動は,人工バリア内の間隙水の加熱により生じる水蒸気の影響を受けると考えられる。そこで,本検討では,幌延深地層研究センターで実施中の人工バリア性能確認試験を対象とした熱・流体・応力連成解析を実施し,水蒸気の発生による間隙圧力の上昇が人工バリアにどのような影響を及ぼすのか考察した。その結果,水蒸気の発生を考慮すると,ヒーター周辺の緩衝材の水分が気化することにより,飽和度が15%程度低下し,間隙空気圧の上昇とともに間隙率は10%程度増大する。このため,緩衝材の長期挙動評価のうち再冠水挙動を模擬するには,ヒーター近傍の温度上昇による水蒸気の発生影響を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in地盤工学ジャーナル Vol. 15; no. 3; pp. 529 - 541
Main Authors 丹生屋, 純夫, 佐藤, 伸, 志村, 友行, 深谷, 正明, 大野, 宏和, 山本, 修一, 棚井, 憲治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 地盤工学会 30.09.2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-6341
DOI10.3208/jgs.15.529

Cover

More Information
Summary:放射性廃棄物処分施設の再冠水時の熱・流体・応力連成挙動は,人工バリア内の間隙水の加熱により生じる水蒸気の影響を受けると考えられる。そこで,本検討では,幌延深地層研究センターで実施中の人工バリア性能確認試験を対象とした熱・流体・応力連成解析を実施し,水蒸気の発生による間隙圧力の上昇が人工バリアにどのような影響を及ぼすのか考察した。その結果,水蒸気の発生を考慮すると,ヒーター周辺の緩衝材の水分が気化することにより,飽和度が15%程度低下し,間隙空気圧の上昇とともに間隙率は10%程度増大する。このため,緩衝材の長期挙動評価のうち再冠水挙動を模擬するには,ヒーター近傍の温度上昇による水蒸気の発生影響を考慮する必要があることが分かった。
ISSN:1880-6341
DOI:10.3208/jgs.15.529