原発性肝平滑筋肉腫の1剖検例

我々は肝肉腫のうちでも極めてまれな原発性肝平滑筋肉腫の1症例を経験した.本症例は15歳の女子で,心窩部膨満感を主訴とし,肝の腫大を指摘され,岩手医大第1内科へ入院した.経過および臨床的諸検査から原発性肝癌が疑われた.加療するも肝腫大の増強,腹水と黄疸の出現があり,さらに吐血が頻発して入院後約2ヵ月で死亡した.剖検上,肝は10,100gで,ゲラチン様緑褐色調腫瘍とその壊死組織が肝の大部分を占め,また乳白色結節を数個伴っていた.その腫瘍は光顕的に,異型性の強い紡錘形細胞が束状あるいは波状の種々の走行を示し,電顕的には腫瘍細胞内にmyofilamentを認めた....

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Published in肝臓 Vol. 16; no. 5; pp. 284 - 289
Main Authors 中沢, 一臣, 桂, 佐元, 池田, 富好, 海藤, 勇, 畠山, 昇, 佐藤, 俊一, 里館, 良一, 小野寺, 久勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.05.1975
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.16.284

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Summary:我々は肝肉腫のうちでも極めてまれな原発性肝平滑筋肉腫の1症例を経験した.本症例は15歳の女子で,心窩部膨満感を主訴とし,肝の腫大を指摘され,岩手医大第1内科へ入院した.経過および臨床的諸検査から原発性肝癌が疑われた.加療するも肝腫大の増強,腹水と黄疸の出現があり,さらに吐血が頻発して入院後約2ヵ月で死亡した.剖検上,肝は10,100gで,ゲラチン様緑褐色調腫瘍とその壊死組織が肝の大部分を占め,また乳白色結節を数個伴っていた.その腫瘍は光顕的に,異型性の強い紡錘形細胞が束状あるいは波状の種々の走行を示し,電顕的には腫瘍細胞内にmyofilamentを認めた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.16.284