実験および解析的検討による散水時の盛土の初期変状に関する基礎的検討

降雨浸透により局所的な変状や破壊が繰返し発生するような進行性破壊において,のり面の初期変状が確認された段階で適切な対策工を行った際には,その後の大規模崩壊を防止できると考えられる。このことから,進行性破壊時の初期変状発生のメカニズム解明や予測手法確立の意義は大きい。そこで本研究では,飽和・不飽和浸透流解析および弾塑性有限要素解析を用いて,模型盛土への散水時の盛土内水位上昇と進行性破壊が発生する前の初期のり面変状の再現計算を試みた。解析結果から,飽和・不飽和浸透流解析では飽和透水係数を室内透水試験で得られた値よりも大きな値に設定することで実験の再現性が良好であった。弾塑性有限要素解析では盛土内の...

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Published in地盤工学ジャーナル Vol. 10; no. 2; pp. 307 - 316
Main Authors 西田, 幹嗣, 太田, 直, 川尻, 峻三, 布川, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 地盤工学会 2015
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ISSN1880-6341
DOI10.3208/jgs.10.307

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Summary:降雨浸透により局所的な変状や破壊が繰返し発生するような進行性破壊において,のり面の初期変状が確認された段階で適切な対策工を行った際には,その後の大規模崩壊を防止できると考えられる。このことから,進行性破壊時の初期変状発生のメカニズム解明や予測手法確立の意義は大きい。そこで本研究では,飽和・不飽和浸透流解析および弾塑性有限要素解析を用いて,模型盛土への散水時の盛土内水位上昇と進行性破壊が発生する前の初期のり面変状の再現計算を試みた。解析結果から,飽和・不飽和浸透流解析では飽和透水係数を室内透水試験で得られた値よりも大きな値に設定することで実験の再現性が良好であった。弾塑性有限要素解析では盛土内の水位上昇に伴う変形係数低下を疑似的に考慮することで,実験において確認された初期のり面変状を再現できる可能性を見出した。
ISSN:1880-6341
DOI:10.3208/jgs.10.307