単純ヘルペスウイルス初感染の咽頭炎2例

単純ヘルペスウイルス(以下herpes simplex virus,HSV)は不顕性感染を含めれば成人の50%が感染している.HSVは再活性化により顔面神経麻痺や口唇・口腔のアフタの原因となる.他方,初感染は不顕性感染の場合が多いが発熱,口腔・咽頭のアフタと歯肉腫脹を伴って発症する歯肉口内炎型と,咽喉頭の広い範囲にアフタ,粘膜疹,潰瘍が多発し,激しい咽頭痛を伴い全身状態不良となることが多い咽頭扁桃型がある.HSVの初感染の診断においては血清抗HSV-IgG抗体と血清抗HSV-IgM抗体(以下抗HSV-IgM抗体)の血清抗体価の測定が有効であるが,比較的早期に陽性化する抗HSV-IgM抗体であっ...

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Published in口腔・咽頭科 Vol. 37; no. 1; pp. 76 - 80
Main Authors 室野, 重之, 鈴木, 聡崇, 垣野内, 景
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔・咽頭科学会 2024
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ISSN0917-5105
1884-4316
DOI10.14821/stomatopharyngology.37-076

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Summary:単純ヘルペスウイルス(以下herpes simplex virus,HSV)は不顕性感染を含めれば成人の50%が感染している.HSVは再活性化により顔面神経麻痺や口唇・口腔のアフタの原因となる.他方,初感染は不顕性感染の場合が多いが発熱,口腔・咽頭のアフタと歯肉腫脹を伴って発症する歯肉口内炎型と,咽喉頭の広い範囲にアフタ,粘膜疹,潰瘍が多発し,激しい咽頭痛を伴い全身状態不良となることが多い咽頭扁桃型がある.HSVの初感染の診断においては血清抗HSV-IgG抗体と血清抗HSV-IgM抗体(以下抗HSV-IgM抗体)の血清抗体価の測定が有効であるが,比較的早期に陽性化する抗HSV-IgM抗体であっても発症後7日未満では陽性化しない場合があることが知られている.今回我々はHSV初感染による急性咽頭炎で抗HSV-IgM抗体が発症5日目の初感染採血で陽性となった症例と,発症6日目初診時に陰性だった抗HSV-IgM抗体が11日目に陽性化した症例を経験したので,2症例を比較し文献的考察を交えて報告する.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology.37-076