ベイズの決定課題における人の不確実性評価特性の分析

ベイズの決定課題において, 人の行動が理論的に最適な行動と一致しないことが知られている.Edwardsは確率推測の実験結果をもとにデータのもつ判定力(期待対数尤度比Z)を過小に評価するものと考え補正モデルを提示し, 他方Wallstenは効用の非線形性によるモデルを示した.しかし, 本研究では効用の修正で行動を説明できなかった.他方Zの補正では, Zを過大あるいは過小に評価したときの理論的な行動と, 実際に課題を行なわせたときの人の行動とを比較することにより, 人はZを過大に評価する傾向があると結論を導いている.また, 情報購入量を左右する決定状況のリスクの程度と稼ぎやすさの重視の仕方に個人間...

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Published in日本経営工学会誌 Vol. 28; no. 3; pp. 329 - 335
Main Authors 福川, 忠昭, 油井, 敬道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本経営工学会 31.12.1977
Japan Industrial Management Association
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ISSN0386-4812
2432-9983
DOI10.11221/jimapre.28.3_329

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Summary:ベイズの決定課題において, 人の行動が理論的に最適な行動と一致しないことが知られている.Edwardsは確率推測の実験結果をもとにデータのもつ判定力(期待対数尤度比Z)を過小に評価するものと考え補正モデルを提示し, 他方Wallstenは効用の非線形性によるモデルを示した.しかし, 本研究では効用の修正で行動を説明できなかった.他方Zの補正では, Zを過大あるいは過小に評価したときの理論的な行動と, 実際に課題を行なわせたときの人の行動とを比較することにより, 人はZを過大に評価する傾向があると結論を導いている.また, 情報購入量を左右する決定状況のリスクの程度と稼ぎやすさの重視の仕方に個人間で大きな違いのあることを示している.方法としては, 課題を行なわせたときの人の情報購入量を対象とする方法と, 非計量的な形で人の考える最適情報購入量の多少を対象にし, 多次元尺度構成法を使う方法の2種を用いている.
ISSN:0386-4812
2432-9983
DOI:10.11221/jimapre.28.3_329