鉗子分娩が原因と考えられた下顎骨変形の1例

鉗子分娩は児頭を挟む鉗子により, 児を娩出させるもので, 古い歴史のある産科手技である(三橋直樹 2004;標準産科婦人科学 第3版:512-516). 鉗子分娩は児頭と膣壁の間に大きな硬い金属製の鉗子を挿入し牽引する方法であるが, 挿入法や牽引の方向などを誤ると児あるいは母体に大きな損傷を与えるといわれている(神崎徹 2000;新女性医学体系 33:65-76). 今回われわれは下顎枝に骨変形を認め, その診断に苦慮し, 最終的に鉗子分娩による骨の損傷を疑った1例を経験したのでその画像を供覧する. 患者は74歳, 女性. 既往歴としては小児麻痺(左側下顔面)があり, 24歳時に肺結核を発症し...

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Published in歯科放射線 Vol. 51; no. 1; pp. 5 - 7
Main Authors 野口, 忠秀, 小林, 馨, 伊藤, 弘人, 篠崎, 泰久, 神部, 芳則, 草間, 幹夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会 2011
日本歯科放射線学会
Subjects
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ISSN0389-9705
2185-6311
DOI10.11242/dentalradiology.51.5

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Summary:鉗子分娩は児頭を挟む鉗子により, 児を娩出させるもので, 古い歴史のある産科手技である(三橋直樹 2004;標準産科婦人科学 第3版:512-516). 鉗子分娩は児頭と膣壁の間に大きな硬い金属製の鉗子を挿入し牽引する方法であるが, 挿入法や牽引の方向などを誤ると児あるいは母体に大きな損傷を与えるといわれている(神崎徹 2000;新女性医学体系 33:65-76). 今回われわれは下顎枝に骨変形を認め, その診断に苦慮し, 最終的に鉗子分娩による骨の損傷を疑った1例を経験したのでその画像を供覧する. 患者は74歳, 女性. 既往歴としては小児麻痺(左側下顔面)があり, 24歳時に肺結核を発症し, 32歳時に左側胸部形成術を受け, 69歳時には外傷による右足骨折のため手術を受けた. 顔面部損傷の既往はなかった. 現病歴;平成18年10月左側耳前部に違和感を生じ, 某病院歯科口腔外科を受診した.
ISSN:0389-9705
2185-6311
DOI:10.11242/dentalradiology.51.5