筋萎縮性側索硬化症における微量元素強化流動食(E-6) 使用時の体内微量元素量と細胞性免疫の変化に関する検討

対象は, 食品流動食で長期にわたって経腸栄養をおこなっていた筋萎縮性側索硬化症患者9名. 流動食を微量元素強化型(E-6)に変更し, 変更前, 変更後1ヵ月, 変更後3ヵ月の体内微量元素量, 末梢血液・生化学, 細胞性免疫能について検討した. その結果, 血清中の微量元素の測定では, セレンの有意な上昇と正常化が見られたが, 鉄, 銅, 亜鉛, マンガン, クロムについては有意な変化を示さなかった. しかし, 亜鉛酵素であるアンジオテンシン変換酵素の活性比は有意な上昇と正常化を認め, 体内亜鉛の充足が示唆された. また銅に関しても上昇傾向を示し, 著明な低値を示した2例については3ヵ月後, 正...

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Published in医療 Vol. 57; no. 7; pp. 461 - 467
Main Authors 難波, 和美, 篠田, 一三, 田村, 吉隆, 畑中, 良夫, 藤井, 正吾, 市原, 典子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.07.2003
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.57.461

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Summary:対象は, 食品流動食で長期にわたって経腸栄養をおこなっていた筋萎縮性側索硬化症患者9名. 流動食を微量元素強化型(E-6)に変更し, 変更前, 変更後1ヵ月, 変更後3ヵ月の体内微量元素量, 末梢血液・生化学, 細胞性免疫能について検討した. その結果, 血清中の微量元素の測定では, セレンの有意な上昇と正常化が見られたが, 鉄, 銅, 亜鉛, マンガン, クロムについては有意な変化を示さなかった. しかし, 亜鉛酵素であるアンジオテンシン変換酵素の活性比は有意な上昇と正常化を認め, 体内亜鉛の充足が示唆された. また銅に関しても上昇傾向を示し, 著明な低値を示した2例については3ヵ月後, 正常化した. 末梢血液・生化学では大球性・正球性貧血の改善を, 免疫機能検査では, 好中球殺菌能, NK活性の有意な上昇を認めた. 細胞性免疫能の上昇は, 亜鉛の充足の結果であると思われる. また, 貧血の改善には銅の充足が関与している可能性があると思われる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.57.461