冠静脈洞型心房中隔欠損症に対して完全内視鏡下MICS法を用いて右側左房切開によるパッチ閉鎖術を施行した1例

症例は51歳男性,心窩部痛のため前医を受診し冠動脈CTにて偶発的に心房中隔欠損(ASD)を指摘され,精査目的に当院紹介となった.経胸壁心エコー,および経食道心エコーでは正確な病型の診断は困難であったが,冠動脈CT検査からCSASDと診断された.CSASDには左上大静脈(LSVC)遺残が合併しやすいことが知られているが,本症例ではLSVCの合併は認めず,またその他の解剖学的異常を認めなかったため完全内視鏡下低侵襲心臓手術(MICS)法による外科的閉鎖術を選択した.手術は左半側臥位で行い,右第4肋間中腋窩線から内視鏡ポートを作製した.右側胸部に約4 cmの皮膚切開をおき,右第4肋間で開胸.右大腿動...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 37 - 40
Main Authors 愛知, 千明, 今村, 有佑, 北村, 英樹, 玉置, 基継
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.01.2023
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.52.37

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Summary:症例は51歳男性,心窩部痛のため前医を受診し冠動脈CTにて偶発的に心房中隔欠損(ASD)を指摘され,精査目的に当院紹介となった.経胸壁心エコー,および経食道心エコーでは正確な病型の診断は困難であったが,冠動脈CT検査からCSASDと診断された.CSASDには左上大静脈(LSVC)遺残が合併しやすいことが知られているが,本症例ではLSVCの合併は認めず,またその他の解剖学的異常を認めなかったため完全内視鏡下低侵襲心臓手術(MICS)法による外科的閉鎖術を選択した.手術は左半側臥位で行い,右第4肋間中腋窩線から内視鏡ポートを作製した.右側胸部に約4 cmの皮膚切開をおき,右第4肋間で開胸.右大腿動脈,大腿静脈より人工心肺を確立した後,右側左房切開で左房内を観察した.欠損孔は僧帽弁の腹側かつ尾側に存在しており,これをトリミングしたウシ心膜パッチで閉鎖した.術後経過は良好で7PODに退院し,心エコーでは遺残シャントを認めなかった.本症例のように,LSVCを合併しないCSASDに対しては完全内視鏡下MICSによる右側左房アプローチでの閉鎖術が有効であると考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.52.37