慢性日本住血吸虫症に合併する肝疾患における血中甲状腺ホルモン

各種肝疾患を伴う日本住血吸虫症(皮膚反応陽性)の患者156例の血清T4結合能(TBC)をCPBAで,T3,T4,TSHをラジオイムノアッセイで測定し,甲状腺ホルモンのバランス特にT4→T3転換への肝の関与を検討した.TBC,T4は,全群ともほぼ正常範囲,T3は,肝炎の多少の例外を除き,低下傾向であった.TSHは,一般にやや高値で,T3の低いものにTSHの高いものが多かった.T4とTSHの関係は明らかでなかった.肝障害の高度である肝硬変症に,T3低値,TSH高値,T4ほぼ正常の結果を得たことは,人のT4→T3転換に肝が大きな役割を持つことを示唆し,また,TSHがT3によりfeed backを受け...

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Published in肝臓 Vol. 19; no. 1; pp. 67 - 74
Main Authors 井内, 正彦, 新発田, 杏子, 木谷, 健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.01.1978
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.19.67

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Summary:各種肝疾患を伴う日本住血吸虫症(皮膚反応陽性)の患者156例の血清T4結合能(TBC)をCPBAで,T3,T4,TSHをラジオイムノアッセイで測定し,甲状腺ホルモンのバランス特にT4→T3転換への肝の関与を検討した.TBC,T4は,全群ともほぼ正常範囲,T3は,肝炎の多少の例外を除き,低下傾向であった.TSHは,一般にやや高値で,T3の低いものにTSHの高いものが多かった.T4とTSHの関係は明らかでなかった.肝障害の高度である肝硬変症に,T3低値,TSH高値,T4ほぼ正常の結果を得たことは,人のT4→T3転換に肝が大きな役割を持つことを示唆し,また,TSHがT3によりfeed backを受けていると理解される.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.19.67