農薬による皮膚炎発症の実態と皮膚貼付試験の反応要因に関する疫学的考察

施設園芸を主とする農業従事者111名 (男子56名, 女子55名) を対象に, 農薬による健康障害の発生や皮膚感作の実態とその反応要因を検討した。その結果: 1) 対象者の52%が農薬による何らかの健康障害を経験しており, その症状としては皮膚炎 (32%) が最も多く, ついで, 頭痛 (12%), 全身倦怠感 (9%) などであった。 2) 農薬による皮膚炎は軽症例が多く, 47%は医治を要せず治癒しているが, 10回以上罹患を繰り返している者も17%に認められた。原因農薬としては, 72%がダイホルタンであった。 3) 農薬 (11種) による皮膚貼付試験では, ダイホルタン (男子43...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 35; no. 5; pp. 909 - 916
Main Authors 青山, 公治, 上田, 忠子, 松下, 敏夫, 萬田, 芙美, 上田, 厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 01.01.1987
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.35.909

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Summary:施設園芸を主とする農業従事者111名 (男子56名, 女子55名) を対象に, 農薬による健康障害の発生や皮膚感作の実態とその反応要因を検討した。その結果: 1) 対象者の52%が農薬による何らかの健康障害を経験しており, その症状としては皮膚炎 (32%) が最も多く, ついで, 頭痛 (12%), 全身倦怠感 (9%) などであった。 2) 農薬による皮膚炎は軽症例が多く, 47%は医治を要せず治癒しているが, 10回以上罹患を繰り返している者も17%に認められた。原因農薬としては, 72%がダイホルタンであった。 3) 農薬 (11種) による皮膚貼付試験では, ダイホルタン (男子43%, 女子25%) をはじめ全般的に陽性者率が高く, 男女ともに55%の者が何らかの農薬に陽性反応を示した。反応の程度を点数化すると, 露地作目のみの作業者に比し, ハウス作業者が高得点を示し, とくにハウスキュウリ作業者が最も高値であった。 4) 皮膚貼付試験成績に関与する農作業およびその他の農薬曝露因子を解析したところ, 各作業者の農薬による感作は, 単一の曝露因子によるものではなく, 種々の要因にさまざまに修飾されて出現していることが示唆された。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.35.909